スターリンクのアンテナ施工事例です。今回はアパートのオーナさんから、アパートの一室への設置工事でした。当初メールでやりとりしていた内容と現地で気づいたことに大きな差があったので、スターリンク工事の見積もりや提案をする際に大事な項目を再確認できました。
長きにわたるテレビアンテナの設置で、特に当社が得意とする特殊工事で培った経験が役に立っていますが、新しい気付きがあると嬉しいですね。
アパートの設置事例ではありますが、アパート全体ではなくその一室への工事事例です。
目次
スターリンクアンテナ工事概要
災害時だけではなく、災害後に光ケーブルがなかなか整備されない地域などでも価値を発揮するサービスだと思います。微力ながら災害支援の一環として今後力を入れていく工事です。
工事のポイント(ほぼ共通)
- スターリンクは既に第2世代で取り付けに使う金具などが異なる 日本国内のサービス提供は2022年10月ですが、2022年終盤で既に第2世代へ切り替わっています。第1世代の丸いアンテナと第2世代の四角いアンテナは重量だけではなく支柱の外形寸法もことなり、スターリンクケーブルの形状も異なります。そのためどちらのアンテナを設置するのか工事の前に確認しておく必要がありそうです。当社ではどちらの施工実績もあり、工事の材料はどちらに対しても常に用意があります。
- 現在注文すると届くのは第2世代 将来的に第3世代が出てくるにしても、現時点で第1世代のものが届くなどということはないでしょう。そのためこれからアンテナキットを注文する方には今回の工事事例が参考になると思います。なお現在は初期の第2世代のキットとことなり、同梱されているスターリンクケーブルの長さが15mと短くなっています。
- アンテナとルーター間のスターリンクケーブルはオリジナルの既製品 これは場合によっては深刻な問題を引き起こします。原則として市販品で代替することはできないので、傷がつかないようにすることはとても大事です。またケーブルの先端形状から既設配管内に通線するのは非常に条件が厳しいです。第2世代の場合はケーブル先端の硬くて曲がらない部分が64mmもあります。第1世代はいわゆるLANケーブルですが、アンテナ側は既に固定されており、ルーター側(実際にはACアダプターへ接続)には先端近くに大きなフェライトコアがあります。(寸法未確認)
- 第1世代はアンテナ側から配線(第2世代はルーター側から) 第2世代のスターリンクケーブルはケーブル単体で独立していますが、第1世代のスターリンクアンテナキットの場合、スターリンクケーブルはアンテナ本体に繋がっています。(取り外し不可)
- ケーブルは屋外用だが、傷防止のためのカバー推奨 長期間使用することを考えるとPF管などで紫外線を遮ることをお薦めします。当社では標準的なコルゲートチューブを使った屋外配線が基本ですが、さらに高耐候性の配管を使うこともできます。ですが何よりもケーブルに傷をつけないようにカバーすることが大事だと思います。
- 設置金具やノウハウの多くはテレビアンテナ工事のものが役に立つ スターリンクのアンテナは、原則として回りに障害物がないことが重要です。そのため一般的には広い空き地か建物の屋根より硬い位置に固定して使うのがいいでしょう。自宅で使うなら必然的に後者になりますので、アンテナを屋根より高い位置に固定することはアンテナ工事会社が得意とするところです。ただし、スターリンクのアンテナ自体が外部の金具で固定することをあまり想定していないため、それらの金具等の選定には知識や経験が必要になるだろうと思います。
- ※ただし電気工事なので、多くのアンテナ工事業者の工事は違法の可能性がある これは再三声を大にして伝えたいことですが、エアコン工事と同様に、スターリンクアンテナの工事は「電気工事業の許可」が必要です。DIYでやることが前提のようなキットですが、ケーブルの固定も日本では電気工事士の資格がいります。一部のアンテナ工事会社が名乗りを上げていますが、注文するときには必ず会社概要に「電気工事業の登録番号」が記載されているか確認しましょう。
ただし、第一世代のアンテナキット(丸型)の場合は、スターリンク純正のポールアダプターマウントをご用意いただくことをおすすめしています。
そのため、アンテナからアダプターに向かって配線工事を行います。
取付の順番としてはこちらの方がスムースに思います。
今回の工事におけるポイント
- 外壁がタイル張りなので壁に穴をあけて通線することが難しい(事前に見た資料では気づかなかった)
- 引き込むのはアパートの一室だが、一番端の部屋
- ユニットバスの点検口から破風の内側が視認できた
- アパートの室内に小屋裏収納があり、天井裏として使えるスペースが北側の一部だけだった
- アンテナ設置場所の近くに木が生えていた(隣の敷地)
- ユニットバスの近くに選択肢の設置場所があり、そこからアースが取れた
工事の情報発信
クラウンクラウンでは現在ツイッターで最新情報を発信しています。最新情報をチェックしたい方は是非フォローしてください。
スターリンクがおよそ半額の初期費用で導入できるキャンペーンと、月額費用の40%値下げを行っています。当社ではこの機会にスターリンクをしっかりと据え付けたい方向けの割引キャンペーンを行います。
— アンテナ工事のクラウンクラウン(スターリンク工事割引キャンペーン中) (@9696cojp) January 13, 2023
ご不明点などはお気軽にご相談ください。https://t.co/Y7i3DXqhRI
スターリンク工事の手順と内容
カウンセリングと配線経路の確認および材料の確認
目視できることはとても大事です。特に内部構造を事前に目視できるのは、高品質な工事を行うのにとても役立ちます。
アンテナ設置場所の選定
スターリンクのアンテナがしっかり固定できること、上空(特に北側)が開けていること、配線がしやすいこと、安全に施工できることなどを考えます。
その他の確認と最終見積提示
入線カバーの色や室内のプレートの確認と、最終的な工事の明細と料金を確認していただきました。今回はグレーの破風だったので、グレーの入線プレートを取り付けています。
お客様のご要望の聞き出しと工事内容の選定、ご説明と丁寧に時間をかけて行います。
アンテナや材料の用意
スターリンクのアンテナはまだ開封していなかったので、当社スタッフで開封し準備を行いました。念のため開封後に確認をしていただいています。
スターリンクケーブルはアンテナ本体に刺さっていましたが、この第2世代型はアンテナからケーブルを簡単に抜くことができます。
屋外で使うものなので、すぐに汚れてしまうものですので気にするようなものではないですね。
金具の設置と穴あけ
金具を取り付けた時の写真がなかったのですが、まず金具を設置し、バランスを考えて穴をあけています。
内側からここに通すことはできませんので、外からガイド用ワイヤーを通してきます。直線とは言え、一般的なガイドワイヤーではなかなかまっすぐ進んでくれないので、直進性に優れた平型ワイヤー(通称キシメン)を通します。
ガイドワイヤー(キシメン)の挿入
直進性が求められる通線では、平型ガイドワイヤー(キシメン)が役に立ちます。
スターリンクケーブルの通線
外から取り入れたワイヤーにスターリンクケーブルを接続します。
スターリンクケーブルの先端にはゴミが入らないようにテープで養生をしますが、ビニルテープなどではケーブルがいそうに糊が残ってべとべとになるので、まずは養生テープ(マスキングテープ)を巻き、その上からビニルテープでしっかり固定します。
当社の第2世代スターリンクアンテナ工事では、通常パイプの中にケーブルを通すので、このように事前に金具にもケーブルを通しておきます。
カバーの土台設置
通線後に入線カバーの土台を設置しています。これはスターリンクケーブルを固定し終わった後でもいいのですが、今回はこのタイミングで行っています。
スターリンクアンテナの固定
ケーブルをパイプに通しながらアンテナを固定します。
スターリンクケーブルの屋外仕上
屋外の仕上がり
ここまでくると工事はおおむね終わったようにも見えますが、実はこの事例で言うとまだ3分の1ぐらいです。
次はいよいよ屋内の工事に入ります。
屋内通線場所にケーブル取り出しとコンセント新設用の穴あけ
前職でクレーム処理責任者をやっていた時、とあるマンションの補修工事に来ていたゼネコンの担当者が「養生9割だからな」と強く言っていたことがいまだに忘れられません。養生用のシート付養生テープは壁紙を剥がして今う場合もあるので、下にマスキングテープを貼ってから養生テープを貼っています。最近では賃貸DIYなどでも、下地にマスキングテープを貼る方法を見るようになりましたがこういったことの応用なのでしょうね。
ユニットバスの天井裏を通過して、壁にケーブルを通線
スターリンクケーブルとコンセント用の電源ケーブル、アースケーブルを壁の中に通します。アース線は近くの洗濯機用コンセントから取得しました。
屋内仕上
配線がすべて終了した後は、さっそくルーターとアンテナを接続し、アプリの設定を行います。
その他考察
ケーブルの入線位置などはいろいろ考えましたが、破風の内側を視認できたことなどもあり、最終的にこの位置に穴をあけています。
他の場所でもできないことはないのですが、非常に難しい工事になる割にはメリットもないと判断しました。
下り速度が225Mbpsが出ていたので非常に高速ですね。
本日のスターリンク工事におけるポイント1
— アンテナ工事のクラウンクラウン(スターリンク工事割引キャンペーン中) (@9696cojp) January 25, 2023
入線カバーは壁面に合わせる
入線カバー内は防水・防虫
サドルの色に合わせたステンレスビス
すぐとなりに木があったので、マストを少し長く
配線保護のコルゲートチューブ pic.twitter.com/Cyx4CGgJ4w
今回の工事料金
※エリア別出張費・有料駐車場料金・任意保険料金・キャンペーン割引などがあった場合は省略しています。
この記事を公開した2023年2月の価格に基づいています。価格改定があった場合は表記が更新される場合もあります。
合計料金
今回の合計料金は58000円(税込63800円)でした。
内訳(税別表記)
- スターリンクンアンテナ壁面・破風設置
- 22000円
- スターリンクケーブル固定 3m
- 3000円
- 穴あけと通線一式 含まれるもの(木造住宅の穴あけ・通線・コルゲートチューブ仕上・防雨入線カバー・室内コンセント枠開口・室内コンセントカバー設置・テレホンガイド設置)
- 15000円
- 屋根裏作業
- 3000円
- 壁内通線
- 5000円
- 3Pコンセント新設
- 10000円
施工時間
現地調査・カウンセリング:1時間
工事:2時間30分
後片付け・精算:30分
調査とカウンセリングに長く時間を使っています。また工事時間の3分の2は屋内の配線工事です。
今回の工事のポイント
過去の施工事例を見ていただくとわかるかもしれませんが、もともとクラウンクラウンではいかに美しくテレビアンテナを設置できるかにこだわってきました。そのため、既存の引き込み線を使わずに別の場所から配線を取り出したり、屋根裏で通線工事を行うなどは日常茶飯事です。こういったノウハウはスターリンクの取付工事に非常に役に立っています。
通線用のガイドも各車両ごとにワイヤー3種、その他チェーンや竿など一般的なアンテナ工事会社では装備していないものを常備しています。お客様がいかに安心して工事を依頼できるかということは、業界にとってとても大事なことです。電話で安い金額やあいまいな受け答えで、現地で想定外の金額を請求されたり、機体内工事をされるなんてことがないよう、できる限り情報公開を行っていきたいところです。
ただし前述したように、一部の電気工事業未登録のアンテナ工事会社が工事を行うための資料になることは避けたいところです。工事の際にはどのような材料を使っているのかしっかり説明させていただいておりますので、工事のご依頼の際にはご安心ください。
- 松本 昭彦
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経歴と専門分野:
幼少期から家電設備の工事に親しみ、クラウンクラウンの設立の前に15年以上にわたりさまざまな設備工事の現場で経験を積みました。100名を超える下請け工事業者の取りまとめとクレーム処理責任者としての役割を経て、2011年に独立。品質重視と明朗会計をモットーに掲げ、業界改革を目指して高品質工事専門の「クラウンクラウン」を設立しました。
学歴:
東京電機大学理工学部情報科学科(中退)
事業構想大学院大学 事業構想士修士課程
主な資格:
国家資格:
1級電気工事施工管理技士
2級管工事施工管理技士
2級電気通信工事施工管理技士補
第一種電気工事士
工事担任者(2級デジタル)
給水装置工事主任技術者
一般建築物石綿含有建材調査者
石綿作業主任者
運行管理者
その他資格:
第2級CATV技術者
1級あと施工アンカー施工士
インテリアコーディネーター
キッチンスペシャリスト
一級リビングスタイリスト
二級福祉住環境コーディネーター
排水設備工事責任技術者
照明士
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