スターリンクとは?その仕組みや利用方法、メリット・デメリットを徹底解説!

23区内のアパートでスターリンク設置完成写真

「スターリンク」という名前を聞いたことがあるでしょうか?最近話題になっている、宇宙船メーカーSpaceXが提供する衛星通信サービスです。スターリンクは、世界中のどこでも高速なインターネット接続を提供することを目的に開発されました。従来の地上ネットワークではアクセスしづらい場所でも、衛星通信を使うことで快適なネット環境を実現することができます。本記事では、スターリンクの仕組みやメリット・デメリット、料金や契約方法などを詳しく解説します。

目次

スターリンクとは何か?

「スターリンク」とは、SpaceXが提供する衛星通信サービスです。スターリンクは、低軌道衛星を利用することで、高速で安定したインターネット接続を世界中どこでも提供することができます。利用には専用のアンテナとルーターの設置が必要ですが、農村部や開発途上国、災害時など、インターネットが不足している地域でのインフラ整備や、リモート診療やオンライン学習の進展などに期待が寄せられています。
日本では2022年10月からサービスが開始されました。

スターリンクの仕組み

スターリンクの基本情報

  • スターリンクは、米国の宇宙企業スペースXが提供する、低軌道衛星によるインターネット通信サービスである。
  • 2023年6月5日時点で、4,543基(プロトタイプを含む)の衛星が軌道に投入されており、今後数年間で数万基の衛星を打ち上げ、世界中のあらゆる場所で高速なインターネット通信を提供することを目指す。
  • 低軌道衛星を使うため、従来の衛星通信よりも低い遅延時間(レイテンシー)を実現している。また、高速な通信速度が可能である。
  • スターリンクは、地上に設置した受信機を用いて通信を行う。受信機は約30cm × 50cm程度の小型であり、一般家庭にも設置可能である。
  • スターリンクのサービス提供地域は、徐々に拡大している。北米・ヨーロッパ・オーストラリア・ニュージーランドなどでサービスを提供しており、アジアでは2022年10月に日本でサービスが開始され、2023年2月にはフィリピンでも開始された。今後も地域を拡大する予定である。
  • 設置費用は約5万円程度であり、月額利用料は国によって大きく異なる。日本では6600円~(2023年2月時点)。
  • スターリンクは、主に農村部や山間地帯、海外などでインターネット通信が不十分な地域に利用されている。また、緊急時の通信手段としても利用可能である。

スターリンクの衛星通信システム

スターリンクのシステムは、地上の受信機から送信された信号を低軌道にある衛星群が受信し、中継して目的地の受信機に送信します。衛星は高速で移動するため、地球上のどこからでも衛星が見えるようにするために、数百もの衛星を打ち上げています。
衛星は、1つの衛星が提供する地域をセルとして分割されており、その範囲内にある受信機はその衛星に接続されます。このようにして、世界中のどこでも高速かつ低遅延のインターネット接続が可能となります。

スターリンクのメリット・デメリット

メリット

  • 高速なインターネット接続が可能
  • 衛星通信なので、どこでも接続可能
  • 地球規模のインターネット網を実現する可能性がある
  • 天候や地形などの制限を受けにくい
  • 従来の衛星通信よりも低コストで提供可能
  • プランによっては持ち運んで好きな場所で利用可能
  • 災害時にインフラが断絶されても簡単に利用できる
  • 光回線などの開通待ちがなくすぐに使える
一見すると都会では不要に思えますが、都心部でも光ケーブルが届きにくい環境や災害後に長期間の復旧を待つ必要がないなどもメリットの一つです。転居の際もスターリンクを持っていけば、アプリから使用住所を更新するだけですぐに使うことができます。(※工事を行う必要がある場合もあります)

デメリット

  • 衛星回線であるため、地上回線に比べて遅延が大きくなることがある
  • 衛星数が多いため、星間衝突事故が発生する可能性がある
  • 光害や宇宙ごみの問題を引き起こす可能性がある
  • 衛星が軌道上にある期間が短いため、衛星交換や維持費用がかかる
  • 衛星回線を利用する場合、地上局の設置が必要になるため、インフラ整備に費用がかかる
  • 自宅で使う場合に通信状況の安定した場所へのアンテナの固定が難しい
  • 自宅で使う場合にケーブルの引き込みに工夫が必要
  • 木々に囲まれた場所など空が開けていない場所では利用が難しい※
これらのデメリットにより、スターリンクには課題が残っています。特に、環境問題に対する配慮や、地球規模のインターネット網を実現するための課題は、今後の改善の余地があると考えられています。
現在スターリンク事業は黒字化しているようなので、今後の改善も期待したいところです。
現在日本では北天の衛星と通信するため、北側の空が開けていないと通信が難しいです。インフラの整っていない田舎でこそ真価を発揮するかと言うと、実際にはそうでもないかもしれません。アンテナの設置場所や高さはそれなりに重要です。
※クラウンクラウンでは別荘地を含め周りを木々に囲まれた環境でも多くの施工事例があり、工事を行った事例ではすべて十分な通信速度(下り速度150~250Mbps)を確認できています、

スターリンクの料金や契約方法

スターリンクのプラン別月額料金

スターリンクは短い間隔で費用が変わることがあります。2022年10月に日本でサービス提供が開始されてから、2023年の1月までの3か月の間に2度の値下げがありました。また4月からは海外の一部の地域において「混雑している場所は10ドル値上げ、すいている場所は20ドル値下げ」と言ったメールも送られているようです。
2023年6月12日現在の料金は以下のようになっています。

  1. レジデンシャルプラン(住所固定) 6,600円/月
  2. レジデンシャルプラン住所追加オプション 2,600円/月廃止になりました。
  3. モバイルプラン(国内のどこでも利用可能※旧RVプラン・Roamプラン) 9,900円/月
  4. ビジネスプラン 28,000円/月
  5. モバイルプラン 250ドル(約35,000円)/月
  6. マリタイムプラン(世界中の海で利用可能) 近日公開予定

レジデンシャルプランとモバイルプランは初期費用(アンテナキット)が55000円73000円(現在はキャンペーンにより36500円)、ビジネスプランは365,000円がかかります。以前はキット代に送料も含まれていましたが、現在ではキット代以外に別途送料がかかります。
モバイルプランとは車などにアンテナを設置して、文字通り移動しながら使えるプランです。初期費用(アンテナキット)が2,500ドル(約35万円)と案内が出ていますが、現時点で日本から注文することはできません。

法人で利用する場合でも、ビジネスプランを契約する必要はありません。現在はレジデンシャルプランやRoamプランの法人利用にも特に制限はありません。また大手通信会社(KDDIやソフトバンク)が代理店としてスターリンクのビジネスプランを独自展開していますが、スペースXに直接注文してビジネスプランを契約することもできます。

スターリンクの契約方法

Starlinkの公式サイト(https://www.starlink.com/)にアクセスして申し込みます。
利用場所の住所を入力し、利用可能かどうかを確認して手続きに進みます。
後日アンテナキットが届きます。

スターリンクの設置方法や使い方

スターリンクを使う手順は以下の通りです。

  1. アンテナを設置(どこかに固定、またはスタンドに装着)
  2. アンテナとルーターをスターリンクケーブルでつなぐ
  3. ルーターの電源プラグを100Vコンセントに挿す
  4. アプリでログインし、初期設定を行う
また、初期設定が完了すると、スターリンクの利用が開始されます。利用中にトラブルが発生した場合は、アプリや公式サイトに掲載されている情報を参考に、トラブルシューティングを行ってください。

スターリンクを自宅で固定して使う場合

自宅でスターリンクを使用する場合は、アンテナが強風で動かないように、また充分北の空が開けている場所に固定するのがおすすめです。

ただしスターリンクケーブルは36V以上の電気が流れる(第一世代で56V、第二世代で48V)ため、ケーブルを建物などに固定する場合は電気工事士の資格が必要です。その他の施工も軽微な電気工事(電気工事士の資格は不要)にあたるため、電気工事業の会社以外は請け負うことができません。※DIYなど業として行うものでなければ電気工事業の登録は不要。

壁や軒天などに穴をあけて室内に配線を取り込むことになると思いますが、難易度が高くさまざまな道具も必要なので、プロに任せるのが一番効率がいいでしょう。
※実際の固定工事の際には設置手順が異なる場合があります。

スターリンクの速度や通信品質について

広告で宣伝されているスターリンクの通信速度は最大で200Mbpsですが、多くの事例ではそれ以上の速度が出ています。

下りの速度は比較的高速ですが、上りに関しては10Mbpsから20Mbps程度が多く、高画質のライブ配信などには向いていない可能性があります。ビデオ会議等では十分実用的な速度です。

下りの速度は十分速いため、複数人が同時に動画視聴などを行っても快適に使用できるでしょう。

スターリンクは1台につき最大128の端末が同時に接続することができます。

※Zoomの公式サポートによると推奨値は以下の通りです。

  • 1 対 1 のビデオ通話の場合:
    • 高品質ビデオでは 600 kbps(上り / 下り)
    • 720p HD ビデオの場合では 1.2 Mbps(上り / 下り)
    • 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
  • グループビデオ通話の場合:
    • 高品質ビデオでは 1.0 Mbps / 600 kbps(上り / 下り)
    • 720p HD ビデオでは 2.6 Mbps / 1.8 Mbps(上り / 下り)
    • 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
    • ギャラリー ビューでは 2.0 Mbps(25 名)、4.0 Mbps(49 名)
参考:https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362023-Zoom-system-requirements-Windows-macOS-Linux

スターリンクの導入事例

当社では全国でもトップクラスのスターリンク設置実績を誇っています。現在までに50例近くのさまざまな設置を行っています。

戸建て住宅に

戸建てへのスターリンク取付
戸建てのメインインターネット回線として

アパートに

アパートへのスターリンク取付事例
オーナーとして、またはオーナーの許可を得てアパートへ設置

借家に

借家へのスターリンクアンテナ取付
入居者のためのインフラ整備として

店舗・病院に

店舗上に設置されたスターリンクアンテナ
自宅とは異なる、店舗や治療院などのインフラとして

自社ビルに

自社ビルへのスターリンク設置
コンクリート壁へのスターリンクアンテナの固定などもお任せください

事業所に

事業所にスターリンクを設置
壁面以外に折板屋根などの上に設置もできます

別荘に

Roamプランの場合、使わない月は契約を止めることもできます

倉庫に

倉庫へのスターリンクアンテナ設置
倉庫の災害に備えたインフラとしてスターリンクを導入

山小屋に

富士山の山小屋でスターリンク工事
山小屋へWi-Fiの導入として

グランピング施設に

グランピング設備へスターリンクアンテナの設置
光配線の来ていないグランピング施設の利用者向けフリーWi-Fiとして

ゴルフ場の事務所に

ゴルフコースの事務所にスターリンクの導入
ADSLでは間に合わない業務の効率化に

リフォームと一緒に

リフォームと一緒にスターリンクの工事
足場のある時の工事もできます

スターリンクの現状と今後の展望

現在、スターリンクは先進国における地方部や農村部のインターネット接続に利用されており、限定的な展開に留まっています。しかし、スターリンクの将来的な目標は、全世界に高速インターネット接続を提供することです。そのために、スペースX社はスターリンクの衛星を数千機打ち上げる計画を進めており、今後の展望は非常に大きいと言えます。

一方で、スターリンクはまだ発展途上の技術であり、いくつかの課題も抱えています。例えば、天候によって通信速度が低下することがあることや、建物や木々などの障害物が衛星通信を妨げることがあることなどです。また、スターリンクの衛星は低軌道に配置されており、それに伴い衛星数も多いため、衛星による光害が問題視されています。

既にスターリンク事業は単体で黒字化されており、今後の新たなるサービスに向けてV2衛星の発射も行っています。また2023年2月にはフィリピンでもサービスが開始され、ますますアジア地域にも広がっていくことでしょう。

クラウンクラウンのスターリンク工事料金表は以下から。できるだけ誤解の無いように追加料金等も公開しています。※スターリンクの設置配線工事は電気工事士の資格と電気工事業の登録が必要ですのでご注意ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ

Starlinkのアンテナの種類(旧型・新型・高性能型)などもお知らせください。