不適切なアンテナ工事の事故補修

地デジフラットアンテナの倒壊事故
さいたま市南区で台風のために折れてしまったアンテナの修理となります。
ショッキングな画像ですが、実際に起きたことです。
今回は火災保険で直すことができましたが、工事自体はずさんで、2年前に設置した会社での補修よりも弊社での手直しをご希望いただいた事例です。
使用している部材や細かい部分で同業者として危機感を覚える案件となりました。
他社様批判をしたいわけではありませんが、アンテナ工事業界の真実を伝えることが業界の改善につながると信じています。
良くないと思うところを指摘していますので、批判が不快と思われる方はご注意ください。

アンテナ工事概要

既存アンテナを支えるマストが折れてしまっていたため、新しく太いマストに交換。
その際に壊れていたBSアンテナとブースターを交換。
地デジアンテナは不適切なものが設置されていたため交換。
今回はアンテナの工事の品質が悪いことは確かでしたが、大型台風による被害で火災保険も使えるとのことでしたので保険適用で手直し工事となりました。
このアンテナ工事を行っている会社様の手直しは何回か伺っていますが、残念ながら担当者が違っていても品質は高いとは言えないようです。

強風のためマストが折れてしまいました
細いマストに高い負荷がかかってしまっていました

アンテナ工事の手順

お問い合わせからメールでご案内

ベランダに設置されていたアンテナが台風で倒れてしまったということでしたので以下の点を中心にご案内しました。

  • 強風被害の場合に火災保険が適用になる可能性があること
  • 保険会社によってはお客様を経由しないで工事料金の支払いを受けることができること
  • 倒れたアンテナは再利用ができない可能性があること
  • いくつかのプランを含めた工事料金の概算

正式なご依頼から現場確認

現地についてみると、冒写真のような状況でしたので非常にショックでした。
弊社では推奨していない施工方法でもあり、大型の台風だったとはいえ倒れてしまって当然と言える状況でした。
弊社でも何回か手直し事例のある工事会社ですが、検索上位に出てきてしまうので被害を受けたお客様は非常に多いのだろうと思います。

POINT倒壊の原因は以下のように考えられます。

  1. 細いマストを使用していたこと
  2. マストを長く伸ばしていたこと
  3. マストにBSアンテナとフラットアンテナの二つを設置していたこと

強風で折れたアンテナマスト
アンテナのマストが折れています。またサイドベースにはバーコードシールが貼られたままでした。

シールはしばらく雨風にさらされてきれいにはがすことが難しかったため、今回はそのままにしてあります。
※現在の同製品(MW20Z)はバーコードシールがシルバーになり、はがさなくても目立たず、雨風で破れてきたなくなることもなくなりました。

既存設備の確認

既存のアンテナ等が再利用できないか確認しました。

  1. フラットアンテナ
    ベランダとは逆方面に向ける必要があり、マストで延ばすと再度事故の可能性があるため却下
  2. BSアンテナ
    マストが折れてひっくり返り、コンバータ部分に水が入ったため故障
  3. ブースター
    アンテナが4K8K対応のため対応機種に交換

地デジアンテナについてはベランダに設置する場合屋根越しに受信する必要がありましたが、弊社ではそういった場合は小型のデザインアンテナを推奨しています。電波状況によっては円柱状のユニコーン(U2CN)や八木式アンテナでの設置をお勧めすることもあります。
BSアンテナについては、弊社は2017年1月1日より2Kタイプの取り扱いを終了しているため、代替機種として4K8K対応のものを取り付けることになりました。
ブースターについては交換しなくても使えたのですが、お客様からせっかくなので一緒に交換してしまいたいとご要望を受け交換することになりました。

既存アンテナの撤去

アンテナが固定されたままマストを引き抜きましたが、非常に重量があり大変でした。
この重さのものを細く長いマストで施工して不安はなかったのか不思議です。
20年ほど前はほとんどの家庭で直径25mmのマストが使われていました。しかしこれは屋根の上にワイヤーで固定することが前提のため、屋根の上で重量が軽く済むことが利点となり、ワイヤーで支えることで折れにくいという特徴がありました。
それでも台風の時などにマストが中央などで折れる事例もあり、現在では多くの工事会社が屋根上のアンテナの場合でも直径32mmのマストを利用しています。
25mmのマストは軽いだけではなく、コスト面でも利点があります。

サイドベース(壁面に固定された金具・突き出し金具ともいう)は特に外れかかっていなかったのでそのまま再利用しましたが、ビスはステンレス製ではなく、コーキング(防水)処理も雑でとても残念でした。
別の場所にやり替えると既存の汚れがかえって目立ってしまうことも考えられ、同じ場所にビスを打ち直すと強度も落ちますので今回はそのままの方がいいとの判断です。
防水は変性シリコーンコーキングを使用すれば塗料ものるので将来のリフォームの際も使い勝手がいいです。また金具の周りにコーキングを施工する場合は、一般的にはテープなどで養生を行いラインがきれいになるように施工するものです。

アンテナとブースターの新設

マストを新しいものに取り換える必要があったので、マストは弊社標準の32mmタイプを設置しました。
BSアンテナとブースターは故障してしまっていたため新しいものを設置し、地デジアンテナは小型のものに変更しました。
地デジの電波は十分に受信できておりましたが、以前の工事ではブースターの調整を適切に行っていなかったため、テレ玉やTOKYO MXは映っていなかったかもしれません。
今回は十分に強く地デジが受信できているため、品質を落とさないように利得(ボリューム)を下げています。
なお当たり前ですがアンテナ本体からブースターまでの配線はすべて新しいものを使用し、ケーブル自体はS-5C-FBTという3重シールドタイプを使用しています。

ブースター電源の設置と分配器のダミー抵抗の設置

ブースターの電源を設置し、分配器の空き端子にはダミー抵抗を設置しました。
分配器に空いた端子があると、反射波により定在波というものが発生し電波の品質が下がってしまいます。また4K8Kの電波漏洩の原因にもなりますので、空いた端子はダミー抵抗を付けた方がいいです。クラウンクラウンでは無料でダミー抵抗を設置しています。
ブースター電源は分配器の近くに固定しました。特に点検口の中に置いたままでもいいのですが、分配器も固定されているのでその近くに同じように固定した方がスマートですよね。

ダミー抵抗設置サービス
クラウンクラウンでは分配器の空き端子にダミー抵抗の設置を無料で行っています。特にBSアンテナを設置した際はダミー抵抗の設置推奨です。

ブースター電源を固定
ブースター電源も固定できればその方が仕上がりがすっきりしますね

他社様のブースター設置
ブースター電源は固定しなくてもいいのですが、分配器が固定されていればそれに倣うのがスマートだと考えます。

屋内で電波確認

屋内で電波が問題ないことを確認します。

片付け・ご精算

施工場所の後片付けとご精算を行い終了です。
※工事の手順、内容は現場ごとに異なります。

アンテナ手直し工事完了写真
無事にアンテナ工事が完了しました。マストは適切な長さでカットしています。

電波測定結果

アンテナ直下 テレビ端子
物理チャンネル 放送局 LEVEL MER BER LEVEL MER BER
16 MX 44.2 32 0 63.5 31.1 0
21 フジ 61.5 32 0 77.7 32 0
22 TBS 61.1 32 0 77.4 32 0
23 テレ東 61.5 32 0 79.4 32 0
24 朝日 59.8 32 0 79.6 32 0
25 日テレ 61.3 32 0 81.2 32 0
26 ETV 60.4 32 0 78.8 32 0
27 NHK 46.9 32 0 75.0 32 0
30 チバテレ 26.8 26.6 8E-4 49.8 10.8 x
32 テレ玉 62.9 32 0 83.2 32 0

今回の工事料金

合計料金

今回の合計料金は 72000円となりました。

内訳

地デジアンテナ工事
22000円
BS4K8Kアンテナ工事
22000円
4K8Kブースター工事
23000円
点検口内作業
3000円
既存アンテナ撤去
4000円
既存アンテナ処分(1個追加)
3000円
他社手直し救済サービス
-5000円

税別価格となります。
その他調整費用や決済手数料などはかかっておりません。

他社様工事料金

初回に工事したところでは54000円の工事となっていました。
4K非対応ですが、工事料金はだいぶ安いと思います。
ウェブサイトは非常にきれいにできているのですが、安かろう悪かろうの典型なのではないでしょうか。

工事明細書
最初に工事をした会社の工事明細書です。

今回利用した部材

地デジアンテナ
SDA-5-1(サン電子)
BS4K8Kアンテナ
BC453S(DXアンテナ)
4K8Kブースター
NSB42DSUE(日本アンテナ)

施工時間

現地調査・カウンセリング:50分
工事:1時間
後片付け・精算:30分

今回の工事のポイント

いくつか工事に問題点があり、すべてではないですが保険適用部分に対しては手直しを行いました。

既存工事の問題点

ポイントは前述したとおりですが、それ以外にもいくつか問題と考えられる点がありました。

  1. 使用しているアンテナ配線がCA線であること
  2. ブースターの調整を一切行っていないこと
  3. マストがサイドベースにちゃんと入りきっていないこと
  4. 配線が汚いこと
  5. 防水処理が変性シリコーンコーキングを使用していないこと(そして汚いこと)
  6. マストが長すぎて負荷がかかりすぎていたこと

CA線については別途解説していますが、とにかく安いことが最大のメリットであり、お客様にとって使用されることのメリットはありません。
クラウンクラウンで標準仕様のケーブルに比べて3割ほど安いものとなります。
弊社ではCA線の使用を非推奨としておりますが、今回はベランダ以外の既存配線は、施工料金等の都合もありそのまま再利用することになりました。

以前の工事は今回のアンテナと同等以上に電波を受信していた可能性が高いです。
それなのにブースターの利得は最大となっており、おそらく定格出力をオーバーしていたと思われます。
利得(ボリューム)を必要以上にあげることは、スピーカーの音が割れてしまうのと同様にデータが壊れてしまいます。そのためテレ玉やTOKYO MXなどにその影響があり、きちんと視聴できていなかったようです。
BSも最大にしていては定格出力オーバーになっているはずです(※BSが正確に方向調整されていた場合)。
手直しでお伺いすると、ブースターの調整が行われていない会社が意外に多くて驚きます。

ブースターは未調整
ブースターはただ取り付ければいいというわけではありません。電波状況に応じて適切に調整する必要があります。

今回はサイドベースが二つあったので大丈夫でしたが、下段のサイドベースにはマストがしっかり入り切っていませんでした。一つのサイドベースで同様の施工をしていると、マストが抜け落ちたり方向がずれてしまう可能性があります。ボルトを回すときに気づきそうなものですが、気づいてもやり直しを面倒くさがったのかそのままにされていました。
ずさんで廉価製品を使用した工事
見ればわかる手抜き工事はプロとしてのプライドを疑います。

配線は特にベランダの手すり壁に立ち上げている部分が雑でした。
梯子が届かないからということを言われたようですが、実際はどうなのでしょう。
確かに3階建てなので、標準より高い位置にはなりますが、配線にきっちり手間と時間をかけようという姿勢は感じられません。
工事料金が安いせいか、一件あたりにかけられる時間が短いのかもしれませんね。
防水処理に関しては、クラウンクラウンでは変性シリコーンコーキングを推奨しています。
外壁や屋根の補修にも使われるもので、塗料も上から塗ることができます。
ここで使われていたシリコーンコーキングは変性シリコーンコーキングに比べて半額以下で購入できるもので、エアコン工事などでもよく使われているものですが、本来は屋内で使われるものです。外壁工事や太陽光工事などでは絶対使われないものです。
また塗り方に関しては技術の差もあるので何とも言えませんが、テープなどの養生を行えば素人でももう少しきれいに施工できるのではないでしょうか。
他社様のコーキング処理2
ブースターにつながるケーブル処理もきれいには見えません

他社様のコーキング処理2
残念ながら丁寧に仕上げたとは思えません

マストに関しては、この会社の別の手直しで伺った際も気づいたことですが、既製品のマストが長すぎた場合もそのままの長さで使っていました。
現場でカットするのは専用の工具(カッターとリーマーで15000円くらい)がないと大変ですが、プロであれば必要な工具を使って適切な長さで施工してほしいところです。
逆に言うと既製品をそのまま使うことで、工具や施工時間を節約し、その分工事料金を安く抑えているのかもしれません。
コストを抑える努力は必要ですが、一定品質を保つのもプロの仕事だと考えています。
アンテナの手直し工事完了
無事に工事が完了しました。

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不適切なアンテナ工事の事故補修
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