以前CATVから屋根裏へのアンテナ設置切り替え工事を行っており、工事から5年を経過して保証期間も超えておりましたが、今回は「環境変化による電波の変化」の事例にあたるもので保証期間に関係なく有償での再工事となりました。
アンテナ工事概要
外観リフォームとアンテナの関係
今回は外観リフォームにより外壁の全面塗装と屋根の板金を行ったとのことでした。
リフォーム会社の代表の方ともお話をしたのですが、屋根の特性上塗り直しではなく板金(葺き替えなども含む)での施工となったようです。
中には既存のアンテナをそのままにして塗り直しなどを行う場合もありますが、一度外した方が仕上がりがきれいなのは想像に難くないですね。
屋根の上や外壁にアンテナを設置していた場合はリフォームの際に一時取り外しを行ったりするのですが、今回は屋根裏にあったので特に気にせずリフォームを行ったとのことでした。
金属屋根は電波を遮る
金属屋根は電波を遮ってしまうため地デジアンテナの屋根裏設置には向きません。
切妻屋根など屋根裏の一部が屋根に覆われていない場合、その方向から電波が受信できれば金属屋根でも屋根裏設置ができる場合もあります。
今回は前年ながら寄棟(屋根裏がすべて屋根で囲われている)だったためアンテナの移設を行う必要がありました。
他にも遮熱塗料を塗ることで電波も遮られてしまう事例もあります。
アンテナの移設に伴う再配線
できるだけ目立たないところでアンテナを設置したいというご希望もあり、アンテナはベランダの一番奥に設置することになりました。
しかし屋外へのアンテナ引き込み線(本来アンテナに接続するアンテナ線)が反対の角に出ていたため、長く露出でアンテナ線を配線する必要が考えられました。
リフォームしたばかりで奇麗な外観にアンテナ線が目立つのは避けたいということと、アンテナ線の紫外線保護、また当初から屋根裏に潜る作業が必要だったことを考え、アンテナ設置位置に屋根裏から直接再配線する方法で工事を行いました。
アンテナ工事の手順
お問い合わせから過去データの確認
今回はお客様が伝票等を既に保管しておらず、以前どこに頼んだのかを何となく思い出してご連絡をいただきました。
伝票番号等もわからない状態でしたが、ご住所とお名前から過去データを確認しました。
当時の電波測定記録や工事写真なども確認することができました。
現状の確認と対策のご提案
屋根板金を行い始めたらテレビが映らなくなったとのことでしたのでほぼ間違いなく屋根板金が影響していると伝えましたが、万が一足場が撤去されれば回復する可能性もあることも伝え足場が撤去されてから再度ご連絡いただくことになりました。いずれにしても外壁の塗装が乾いてからではないと作業もできないため数日様子を見ていただきました。
現地にて現状の電波測定
対策前に現状の電波を確認します。
またベランダで受信可能かどうかの測定も行いました。
事前にベランダへの新規設置をご提案してあったため、具体的にベランダの奥がいいというご要望もいただきました。
配線の確認とカウンセリング
5年前の工事を行う前はCATVでの受信であったため、屋外にはCATVを契約していた時の配線などが残っていました。
屋外アンテナを設置する場合に基本的には屋外の配線を引き回しますが、前回の工事の際に屋根裏で引き込み線を切断加工していること(屋根裏にアンテナを設置するため)、引き込み線が逆の角から出ていたため引き回しが長くなってしまうことを考慮し、屋根裏からベランダに直接配線を引き出すことを提案しました。
事前に屋根裏で既存のアンテナの位置を確認するとともに、ベランダに配線を引き出すことが可能かどうかの確認も行います。
点検口からベランダは離れていましたが、点検口から逆サイドの軒天を確認し、通気口付近から通線が可能であることを確認しました。
配線の引き出し
通線ガイドは一般的にプラスチックワイヤーを撚り合わせて強くしたものを使いますが、今回は平たく直進性の強いものを使います。
ちなみに弊社では【キシメン】と呼んでいます。タリオリーニとかの方がかっこいいかもしれませんね。
屋根裏も複雑な形をしているので、簡単に奥までは入っていきません。
何度か繰り返しトライすることである程度奥まで入っていきます。
スタッフが到達できるところまでガイドが通れば問題ありませんが、この時期は屋根裏の中は非常に熱く危険なため作業時間を極力短くする必要があります。
屋根裏に引き込まれたガイドの先端に新しいアンテナ線を固定し、屋外まで引き出します。
アンテナの設置
今回は既存アンテナをそのままにして、新しいフラットタイプのデザインアンテナを設置しました。
屋根裏のアンテナを移設することもできましたが、弊社では移設の場合は工事金額もかわりません。
特別取り外す必要がなければ新しいものを取り付けた方がメリットがあります。
5年前の工事だったので、屋根裏にはDXアンテナのUAH810がついていましたが今回は後継機種のUAH201を設置します。
防水について
防水についてご質問をいただくことがありますが、弊社ではこのようにビスの下穴をあけたのちビスに屋外用シリコンを塗布して打ち込みます。
ビスの頭の上にシリコンを塗布する方法をよく見かけますが、こちらのやり方の方が見た目にもきれいで効果も高いです。
水平調整
固定金具を水平に取り付けるのは基本ですが、アンテナ本体と取付金具の固定には若干の余裕(あそび)があるため、最終的にアンテナ本体で水平を確かめる必要があります。
職業柄街中のアンテナに目が行きますが、曲がって設置されているものもあり見かけると残念に思います。
屋根裏配線の接続
屋根裏のアンテナケーブルを接続し直します。
この時についでにブースターを点検口近くに持っていきます。
設置されていたブースターがかなり古く(5年前の工事の際に既にあったものを再利用している)能力も高くないものであったため、将来交換の必要があった場合でも点検口から作業ができる範囲に持っていきました。
屋内で電波の確認
屋内で電波が良好に受信できることを確認します。
片付け・ご精算
施工場所の後片付けとご精算を行い終了です。
前回の工事と今回の工事も松本が担当いたしましたので、前回の工事のことなどもお話ししました。
大分太ったねと指摘されてしまいました。(笑)
※工事の手順、内容は現場ごとに異なります。
電波測定結果
5年前の測定結果 | 今回の測定結果 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
物理チャンネル | 放送局 | LEVEL | MER | BER | LEVEL | MER | BER |
16 | MX | 43.6 | 23.3 | 1.5E-6 | 33.7 | 18.4 | 1.0E-2 |
18 | TVK | x | x | x | x | x | x |
21 | フジ | 64.5 | 30※ | 0 | 52.7 | 32 | 0 |
22 | TBS | 61.3 | 30 | 0 | 53.6 | 32 | 0 |
23 | テレ東 | 63.2 | 30 | 0 | 54.0 | 32 | 0 |
24 | 朝日 | 63.0 | 30 | 0 | 52.7 | 32 | 0 |
25 | 日テレ | 63.5 | 30 | 0 | 54.4 | 32 | 0 |
26 | ETV | 65.3 | 30 | 0 | 53.4 | 32 | 0 |
27 | NHK | 61.8 | 30 | 0 | 51.1 | 32 | 0 |
30 | チバテレ | 35.0 | 13.6 | x | x | x | x |
32 | テレ玉 | 59.1 | 30 | 0 | 47.0 | 30.3 | 0 |
周辺環境の変化もあったのかもしれませんが、以前の屋根裏の電波と比べて今回は落ちてしまっています。
このようにベランダよりも屋根裏の方が電波がいいことは一般的によくあります。
なお5年前のデータでMERが30になっているのは、当時使っていた測定器の上限が30であったためです。
今回の工事料金
合計料金
今回の工事料金合計は38000円となりました。
内訳
- アンテナ設置料金
- 22000円
- 屋根裏内作業(全身作業)
- 8000円
- 夏季割増料金(屋根裏作業)
- 2000円
- 屋根裏通線工事
- 6000円
税別価格となります。
その他調整費用や決済手数料などはかかっておりません。
今回利用した部材
- アンテナ本体
- UAH201(DXアンテナ)
施工時間
現地調査・カウンセリング:50分
工事:45分
後片付け・精算:30分
今回の工事のポイント
アンテナ配線を屋根裏で行うことで、見た目が非常にすっきりしました。
アンテナ線の紫外線による劣化を防ぐことにもつながります。
屋根裏へのアンテナ設置に関わらず、建物のリフォーム時にはアンテナの移設などが必要になります。
屋根の上にアンテナを立てている場合塗装会社がアンテナの着脱を行う場合もありますが、専門的な知識、技術がないと元通りにならなかったり耐久性が落ちることもあります。
アンテナを着脱せずに塗装などを行うと、将来アンテナが劣化して交換した場合に古いアンテナの位置に塗り残しが現れたり、アンテナの撤去自体が困難になる場合もあります。
リフォーム(特に外壁や屋根の再塗装など)の際にはアンテナ専門会社にも相談していただいた方がいいですね。
弊社では塗装工事の際のアンテナ再設置などのご依頼も承っております。
工事のご依頼やお問い合わせはお気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。
- 松本 昭彦
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経歴と専門分野:
幼少期から家電設備の工事に親しみ、クラウンクラウンの設立の前に15年以上にわたりさまざまな設備工事の現場で経験を積みました。100名を超える下請け工事業者の取りまとめとクレーム処理責任者としての役割を経て、2011年に独立。品質重視と明朗会計をモットーに掲げ、業界改革を目指して高品質工事専門の「クラウンクラウン」を設立しました。
学歴:
東京電機大学理工学部情報科学科(中退)
事業構想大学院大学 事業構想士修士課程
主な資格:
国家資格:
1級電気工事施工管理技士
2級管工事施工管理技士
2級電気通信工事施工管理技士補
第一種電気工事士
工事担任者(2級デジタル)
給水装置工事主任技術者
一般建築物石綿含有建材調査者
石綿作業主任者
運行管理者
その他資格:
第2級CATV技術者
1級あと施工アンカー施工士
インテリアコーディネーター
キッチンスペシャリスト
一級リビングスタイリスト
二級福祉住環境コーディネーター
排水設備工事責任技術者
照明士
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