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調査・実験

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目次

スターリンクとは?

スターリンクとは、地球の低軌道上に配置された数千基(将来的には数万基)の衛星を用いて、インターネット通信を実現する革新的なシステムです。従来、日本のインターネット通信は主に海底ケーブルを介して海外と繋がっていましたが、スターリンクでは宇宙空間を経由した通信が可能となります。衛星通信自体は以前から存在しましたが、スターリンクは従来の衛星通信とは「通信速度」「応答速度」「初期費用」「運用コスト」「設備のサイズ」など、多くの面で桁違いに改善されていると評価されています。
一方、日本国内は世界的にも通信インフラが優れており、光回線と比べるとスターリンクは「高額で遅い」「災害時専用」といった認識がいまだ強いのが現状です。しかし、衛星の打ち上げが頻繁に行われ、技術的な進化が加速している現在、その認識は今後変わっていくかもしれません。

・スターリンクの通信速度と工事品質の関係を解説

今週、スターリンクアプリの速度測定画面が更新されました。最新の施工事例をもとに、それぞれの速度を比較してみましょう。

事例紹介と実測データ

千葉県千葉市の戸建て住宅:Wi-Fiルーターがボトルネックに?

chibashi starlink rev2 on the roof | 【実測400Mbps超】スターリンクの速度はここまで出る!工事で変わる通信品質 | 高品質工事専門会社のクラウンクラウン(テレビアンテナ・スターリンク・防犯カメラ)
千葉県千葉市中央区の設置事例:2025年3月23日
千葉市中央区のスターリンクスピードテスト
アプリによるスピードテスト画面

スターリンクの速度としては問題ない範囲だと思いますが、この日からアプリの速度測定画面が変更されました。以前はスターリンク本体の速度とWi-Fi速度を別々に測定できましたが、この時点ではWi-Fi経由での測定結果しか表示されませんでした。そのため、実際のスターリンク本体の速度は確認できませんでした。第2世代キットが影響している可能性もありますが、現時点でははっきりとした理由は不明です。
この測定はルーターのすぐ近くで行いましたが、それでも250Mbpsという結果でした。こちらのお宅は災害時のバックアップ回線としてスターリンクを導入されており、光回線も利用されています。神戸にお住まいのご親戚からスターリンクの導入を勧められたそうです。このような用途であれば、マルチWANルーターを導入して回線の冗長化を図ることをおすすめします。

岐阜県大垣市の工場設置:第3世代キットで実測405Mbps達成

case gifuken ogakishi starlink rev3 pedestrian bridge handrail | 【実測400Mbps超】スターリンクの速度はここまで出る!工事で変わる通信品質 | 高品質工事専門会社のクラウンクラウン(テレビアンテナ・スターリンク・防犯カメラ)
岐阜県大垣市の設置事例:2025年3月24日
岐阜県大垣市のスターリンクのスピードテスト
アプリによるスピードテスト画面

岐阜県大垣市にある工場の歩道橋に設置した事例です。当初は隣接する青い屋根上への設置を予定していましたが、歩道橋が障害物となり電波状況に影響するため、設置場所を歩道橋の手すりに変更しました。45mの専用ケーブルで接続していますが、実測速度は下り405Mbpsと非常に良好な数値が得られました。
第3世代スターリンクキットは標準ルーターがWi-Fi6に対応しており、スターリンク本来の高速性能を引き出しやすくなっています。また、有線LANポートが標準装備されているため、有線接続やネットワーク構築も容易です。工場などの産業施設では、光回線が届きにくいエリアもありますが、安定した高速通信が可能なスターリンクは非常に有効な選択肢となります。ただし、高速通信を安定させるためには、アンテナの確実な固定、障害物の回避、配線経路の工夫、ケーブルや貫通穴の適切な処理が重要です。

千葉県茂原市の伝統的和風建築への設置:実測420Mbpsを実現した工夫

千葉県茂原市のスターリンク設置工事事例
千葉県茂原市の設置事例:2025年3月25日
千葉県茂原市のスターリンクのスピードテスト
アプリによるスピードテスト画面

千葉県茂原市でのスターリンク設置事例です。こちらのお客様は、以前長野県でゲストヴィラにスターリンクを設置させていただいた方からのご紹介でした。
当初は1階の屋根側面(母屋小口)への取り付けを検討されていましたが、2階部分が障害物となって通信品質が落ちる可能性がありました。そのため、通信環境がより良好な2階の母屋小口(写真位置)に設置場所を変更しています。スターリンク付属の15mケーブルがぎりぎり届く範囲でしたので、事前に慎重な長さの測定と配線計画を行いました。※実際の工事ではケーブル長の正確な測定は難しいため、余裕を持った設計が重要です。
工事は夕方に開始し、完了後の速度測定は夜になりましたが、下り速度で420Mbpsという非常に良好な通信速度を記録しました。もし当初の予定通り1階に設置していた場合、これほどの速度は得られなかった可能性があります。

スターリンク設置時に通信速度を最大化するためのチップス

スターリンクの通信品質は、アンテナの位置だけでなく、屋内のWi-Fi環境にも大きく影響を受けます。アンテナからの通信速度が速くても、Wi-Fiがボトルネックとなり、十分な性能を発揮できないケースもあります。ここでは、スターリンクの性能を最大限に活用するための簡単なポイントをご紹介します。

・ルーターの設置位置で変わるWi-Fi品質

Wi-Fiの速度と安定性を高めるには、ルーターの設置場所選びが重要です。ルーターは家の中央付近、高い位置、そして障害物が少ない場所に設置しましょう。特に壁や家具、大型家電からの距離を確保すると、Wi-Fiの電波が届きやすくなります。もし速度が不安定な場合は、ルーターの設置場所を変えるだけでも改善する可能性があります。

・有線接続のすすめ

第3世代スターリンク(標準フラット)のルーターには有線LANポートが用意されています。有線接続を利用することで、Wi-Fiによる電波干渉や速度低下を避け、安定した高速通信を確保できます。特にオンラインゲームや動画配信、ウェブ会議などの安定性が求められる場面では、有線接続の利用を積極的に検討すると良いでしょう。

スターリンク工事業者選びのポイント

スターリンクの通信品質を最大限引き出すには、工事業者選びも重要です。実際、設置場所の判断や配線処理などの技術的要素が通信速度を左右することもあります。工事業者選びで気をつけるべきポイントを紹介します。

・専門業者ならではのノウハウとメリット

スターリンクの設置には、通信品質を考慮したアンテナの設置場所選定や、正確なケーブルの取り回しが求められます。スターリンクの施工実績が豊富な専門業者なら、通信を妨げる障害物の回避や電波状況を考慮した提案が可能です。実績があり、具体的な事例やデータを提示できる業者を選ぶことが、良好な通信品質への近道となります。

・設置環境に合わせた提案力の重要性

スターリンクの通信品質は設置環境や施工方法に大きく左右されます。そのため業者選びでは、アンテナやルーターの設置位置だけでなく、メッシュWi-Fiによる通信エリアの拡張、防犯カメラや動画視聴など具体的な用途を考慮したネットワーク構築力が求められます。また、有線ネットワークの導入を見越した配線計画やケーブルの最適な長さ、貫通穴の位置決めも重要です。特に戸建住宅の場合、建物の外観を損ねず防水性や気密性を維持する工事品質が求められます。スターリンクのケーブルは屋外仕様ですが、紫外線や物理的破損から守るため、配管工法が推奨されます。配管を用いることでケーブルの耐久性向上だけでなく、電波干渉など通信障害リスクも軽減できます。公共施設やビルにおいては、通信ケーブルを配管に収める工事が基本です。これらを踏まえ、設置環境に応じた最適な提案ができる業者を選びましょう。

まとめ

・通信速度は「工事品質」と「使用環境」で決まる

スターリンクの通信速度は「工事品質」と「使用環境」によって大きく左右されます。最適な速度を得るためには、アンテナやルーターの適切な設置場所選定だけでなく、配線方法、Wi-Fi環境、有線ネットワークの活用などの総合的な検討が不可欠です。特に戸建て住宅や特殊な建物に設置する場合は、経験豊富で提案力のある専門業者を選ぶことが重要になります。

・スターリンク導入前に知っておきたい重要ポイント

スターリンク導入前には、使用目的を明確にし、実際の施工事例や速度測定データを確認した上で検討することが推奨されます。通信環境に関する不安や疑問がある場合は、事前に専門業者に相談し、納得した上で導入を進めましょう。

目次

イントロダクション

スターリンクの取付工事をご検討中の皆様、クラウンクラウンのアンケート結果が遂に公開されました!本記事では、スターリンク導入を迷っている方や、工事業者を選ぶ際の参考にしたい方、さらには工事を頼むか自分で取り付けるか悩んでいる方に向けて、クラウンクラウンが実施したアンケート結果を紹介します。

アンケート結果の概要

まずは、スターリンク取付工事に関する評価をまとめてみました。技術力、対応の速さ、サービス内容、価格、工事の品質、作業時間、訪問前・訪問後の作業員の説明やサポートについて、回答者数ごとに集計しました。以下がその結果です。

見積もりを取った会社数
取付工事の際に何社に見積もりを頼んだのか
相見積もりを取った会社を選ばなかった理由 (棒グラフ)
相見積もりを取った会社を選ばなかった理由
クラウンクラウンを選んだ理由
クラウンクラウンを選んだ理由

スターリンク導入後の利便性やメリットについても、アンケート回答者から多くの意見が寄せられました。以下に、スターリンク自体に関するアンケートのグラフをご紹介します。これにより、スターリンクを導入したお客様の満足度や、具体的な利点がより明確になります。

アンケート結果の解説

このアンケートの分析結果に基づくと、スターリンクのインターネット速度に関しては、全体的に満足度が高く、大半の回答者が「満足」または「非常に満足」と評価しています。料金プランについても、多くの回答者が「満足」または「非常に満足」と答えており、概ね好意的な意見が多いことがわかります。

おすすめ度に関しては、過半数の回答者がスターリンクを「おすすめできる」または「強くおすすめできる」と評価しています。ただし、「どちらとも言えない」という意見も一定数存在していることから、利用者によっては評価が分かれる可能性があることも考慮すべきです。

以上の分析結果から、スターリンクは一般的に速度と料金プランの面で満足度が高く、多くの人々がおすすめできると考えていることが分かります。ただし、利用者のニーズや期待によって評価が変わることもあるため、個々の状況に応じた判断が必要です。

注文方法に関しては、ウェブサイトからの注文が圧倒的に多く、アプリからの注文は比較的少ない結果となっています。アプリから事前に障害物の確認ができるのですが、実際に工事を行う場合は結果が異なる可能性があることも考慮する必要がありそうです。

スターリンク導入後の利便性やメリット

アンケート結果から、スターリンクの導入によって得られる利便性やメリットが明らかになりました。多くの回答者が、以下の点に満足しています。

  • 高速インターネットが利用できるようになった
  • 地理的な制約にかかわらず、高速インターネットを利用できるようになった
  • 他のインターネットサービスと比べて、コストパフォーマンスが高いと感じる
  • 工事前よりも安定してインターネットが使えるようになった

スターリンクの取付工事を行った印象

クラウンクラウンの取付工事に関しては、多くのお客様が期待以上の評価をしています。特に、技術力や対応の速さ、サービス内容について高く評価されており、クラウンクラウンの工事が信頼できることが伺えます。

工事を行うならクラウンクラウンにご相談ください

クラウンクラウンはスターリンク取付工事のプロフェッショナルとして、お客様に最高のサービスを提供することを目指しています。以下のアピールポイントをぜひご検討ください。

  1. 技術力の高さ: クラウンクラウンは経験豊富な技術者がスターリンクの取付工事を行い、最適な設置方法で安定したインターネット接続を実現します。
  2. 迅速な対応: クラウンクラウンはお客様のご要望に素早く対応し、効率的な工事スケジュールを提供します。
  3. 充実したサービス内容: 当社はスターリンクの取付工事だけでなく、事前の相談から設置後のアフターサポートまで、お客様に安心してご利用いただける充実したサービスを提供しています。
  4. コストパフォーマンス: クラウンクラウンは高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供し、お客様の満足度を追求しています。
  5. 工事品質の向上: 当社は工事の品質を常に向上させることを目指し、お客様からのフィードバックを大切にしています。
  6. 丁寧な説明とサポート: クラウンクラウンの作業員は訪問前から工事終了後まで、丁寧な説明とサポートを行い、お客様が安心してスターリンクを利用できる環境を整えます。

取材履歴

  1. 2023年3月:共同通信の取材及びインタビューを受けました:風雲児マスク氏の衛星通信はネットを変えるか スターリンク、個人向け値下げで攻勢、日本でも導入機運
  2. 2023年4月9日:フジテレビ日曜朝の報道番組「THE PRIME」にて紹介されました。

まとめ

この記事を通じて、スターリンクの導入を検討されている皆様や、取付工事をどこに依頼するかお悩みの方々に、実際の利用者から得たアンケート結果をもとに、スターリンクの利点や注意点などをお伝えし、より良い選択ができるようにサポートいたします。アンケート結果からも、多くのお客様がスターリンク導入において利便性やメリットを感じられています。 また、工事会社としての当社の評価についても、お客様の声をお伝えすることで、どのようなサービスが求められているかを共有し、スターリンク導入を検討される方々や関心を持つメディアに有益な情報提供ができることを目指しています。アンケートでいただいたご意見や改善要望には真摯に向き合い、より良いサービスを提供できるよう努めてまいります。 私たちの願いは、この記事をお読みいただいた皆様が、スターリンクの導入や工事に関する情報について理解いただけることで、最適な選択ができるようになることです。もしスターリンクの導入や工事に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。当社は、皆様のご期待に沿えるよう、真心で対応させていただきます。

2022年9月に久々の新型テレビアンテナが発売されました。
DXアンテナから八木式の5素子パラスタックアンテナです。
型式はUAX5。UHFのAll channelタイプでXはパラスタック、5は素子数を表しています。
テストから4か月近くたちましたが、ようやくまとめたので公開します。

目次

今回のテスト内容

当社社屋の屋根の上に設置してある、アンテナ試験用のマストに取り付けて計測しています。

クラウンクラウンの事務所屋根上にあるアンテナ試験用のマスト
新しいアンテナなども同じ条件で試験できるように、普段からマストが設置されています。

比較したアンテナ

  1. DXアンテナ UA20(標準アンテナ)
  2. DXアンテナ UA14
  3. DXアンテナ UL14
  4. DXアンテナ UAX5(新型アンテナ)
  5. DXアンテナ UAH201(フラットデザインアンテナ)
  6. マスプロ電工 U2SWLA20(フラットデザインアンテナ)
  7. マスプロ電工 U2SWLA26(26素子タイプフラットアンテナ)
  8. サン電子 SDA-5-1(5素子相当小型デザインアンテナ)
  9. サン電子 SDA-5-1(マストの先端に設置パターン)
  10. マスプロ電工 U2CN(ユニコーンデザインアンテナ)

比較内容

各アンテナの金具固定位置を同じ高さに設置し、東京スカイツリーの電波が一番良好に受信できる方向を向けて測定。
ただしU2CN(ユニコーン)はマストの頂点に設置となるため、他のアンテナよりも高い位置で測定している。またSDA-5-1(小型デザインアンテナ)は他のアンテナと同じ高さの測定と、ユニコーンと同じ高さの測定を行っている。

試験場所

日時:2022年9月8日 12時~15時ごろ
天気:曇り(試験開始時に小雨有)

場所:株式会社クラウンクラウン社屋屋根上
〒339-0061 埼玉県さいたま市岩槻区岩槻6837
スカイツリーから約30km
地上高約10m
あらかじめ試験用に固定されたアンテナマストへの固定

測定データ

受信レベル(dBμV)

[csv2table file=”https://9696.co.jp/cms/wp-content/uploads/784afe9d9c15a5e622f2a01be79f5b6a.csv” caption=”電波測定結果”]

Modulation Error Ratio(dB)

[csv2table file=”https://9696.co.jp/cms/wp-content/uploads/MER.csv” caption=”電波測定結果(MER)”]

Bit Error Rate

[csv2table file=”https://9696.co.jp/cms/wp-content/uploads/BER.csv” caption=”電波測定結果(BER)”]

解説

一般的な八木式アンテナとローチャンネルタイプ、新製品のUAX5に加えて、いくつかのデザインアンテナを比較指定します。
小型デザインアンテナのSDA-5-1については、ユニコーンと比較しやすいようにマストの頂点近くに設置したものも掲載しています。
グラフはGoogleチャートの都合上6種類のアンテナに絞ったものにしています。あまり大きな差はないのですが、これはもともと「電波のいい場所ではアンテナを変えても結果はあまり変わらない」ということの結果をあらわしているとも言えます。

アンテナの特徴とUAX5の能力

アンテナはスカイツリーに向けて測定していますが、船橋局のチバテレと浦和局のテレ玉の電波も測定しています。アンテナが向いている方向と異なるので、指向性の強いアンテナほどテレ玉やチバテレが他のチャンネルより弱くなります。
八木式アンテナはスカイツリーの電波と比べてチバテレ、テレ玉の電波の受信が弱くなっています。

UAX5については今回比較したアンテナの中ではSDA-5-1の上の性能(下から2番目)ですが、十分な受信結果が出ています。今回はスカイツリーエリアなので低い周波数帯の比較しかできていませんが、一般的に標準と言われるUA20(全チャンネル対応20素子アンテナ)とそん色ない結果が出ています。
パラスタックのアンテナは指向性が強くなるので、テレ玉など今回方向が異なる電波はあまり受信できないかと思われましたが、5素子とコンパクトであるためか14素子、20素子のアンテナよりも格段に強く受信できていました。ただフラットタイプのアンテナの方がそういった受信が得意だというのがわかりやすく出ています。
一般チャンネルの受信についてはフラットタイプとほぼ変わりません。そのためフラットタイプのアンテナから置き換えることはできると思いますが、UAX5の特徴はアンテナ自身の高さがないことから屋根裏などで高さが確保しづらい所でも設置ができる場合があることと、本体が軽くマストの先端に取り付けて高い位置に設置しやすいことにあります。

もしかしたら予想外の結果かも

今回のラインナップで一番強いと思われたのは「八木式アンテナ換算で26素子相当の」U2SWLA26でしょうか?それとも今回のテスト機中八木式で一番素子数の多いUA20でしょうか?
当社の施工事例や比較コラムを読んだことのある方なら予想がついたかもしれませんが、一番高い位置に設置したU2CN(八木式換算14素子相当)でした。比較的見晴らしのいい場所ですが、それでも高さの差が出ていましたね。
高さの差による受信状況の変化についてはSDA-5-1の比較を見てもらうとわかりやすいでしょう。
次はUL14です。UA20よりも結果がいいことに驚く方も多いかもしれませんが、以前からお伝えしているようにスカイツリーなどの低めのチャンネルでは20素子のUA20よりもいい結果が出ることが多いです。スカイツリー以外の電波受信エリアで、50chなどの高い周波数を受信する場合には不向きですが、UA20よりコンパクトで性能がいいので、八木式アンテナを設置するならこちらがお薦めです。もちろん上位機種にUL20というアンテナもありますが、多くの場合そこまで必要はないでしょう。

梱包で比べるアンテナの特徴

UA20UA14UAX5の大きさ比較
20素子と14素子はその素子数の差と同じくらい大きさに差が出ますが、5素子だからと言って20素子の4分の一になるわけではなく、梱包で言うと約半分の大きさになります。

ちなみにUA20,UA14,UAX5の寸法は、高さ、幅、奥行き(長さ)で比べると以下のようになります。
UA20:518 × 340 × 1374 0.98kg
UA14:518 × 340 × 1014 0.85kg
UAX5:276 × 377 × 560 0.54kg
上記写真でもわかる通り、幅が少し広くなっていますが、高さはだいぶコンパクトになっています。

UAX5の梱包状態
よく勘違いされやすいのですが、八木式アンテナは横から(スカイツリーエリアの場合)見ると矢印のような形をしていますが、電波の到来方向(アンテナの先端)はこの写真の場合左側です。→の形を想像すると右向きに思いがちですが、上下に広がっている部分は反射器と呼ばれるアンテナの後端部品です。
UAX5の梱包を外したところ
八木式アンテナでも組み立てる必要がないので、とても使いやすい反面、従来の八木式アンテナに比べて幅(写真で言う上下寸法)と厚みがあるので、収納方法を変える必要があるかもしれません。

UAX5以外のアンテナ梱包比較

UA14とUL14
UL14は13~34が受信対象でUA14は13~52が受信対象です。

いわゆるプラチナバンド(800MHz帯)とは710~960MHzの周波数のことを言いますが、以前テレビ放送で使われていたUHF53ch~62chにあたる710~770MHzを含んだ周波数のことです。そのため古いアンテナとブースターでは、この周波数に割り当てられた携帯電話の電波を拾って増幅してしまい、テレビの視聴に影響が出る場合があります。

以前の職場でクレーム処理責任者をやっていた時、別会社(一人親方)の方がローチャンネルタイプのアンテナ料金(通常より高い)で標準アンテナをつけた。とクレームが入って再設置になったことがあります。お客様が下から見上げてゴムキャップの色が違う、と指摘されたようですが、そういうこともあるのですね。当社では料金の違いはありません。(ローチャンネルタイプのアンテナの方が仕入れ価格が高いので、工事料金が追加になるところが多いのはわかります)

外形寸法では一番外側の寸法の表記になるので、場合によっては細かい寸法の違いが数字に出てきません。アンテナを見てUA14とUL14のどちらなのか判断するのは非常に難しいでしょう。

UA14とUL14の形状の違い
スペック表の寸法では違いがありませんが、実は反射器以外の素子の長さが異なります。
UL14とUA14の違い(アンテナ形状に違いなし)
上がUL14、下がUA14です。アンテナの形状等に大きな差はありませんが、給電部(アンテナ線を接続する部品)の素子先端についているゴムキャップの色が異なります。
U2SWLA20とU2SWLA26の箱の大きさ比較
アンテナの大きさに差はありますが、取り付けに使う金具は共通なので、設置スペースに余裕があれば壁に傷をつけず(金具の入れ替えをせず)後からアンテナ本体だけを交換することも可能です。

ちなみにU2SWLA20、U2SWLA26の寸法は、高さ、幅、奥行きで比べると以下のようになります。(突起部を除いたアンテナ部のカタログ寸法)
U2SWLA20:577 × 210 × 58 約1.5kg
U2SWLA26:620 × 240 × 58 約1.8kg
UA14の反射器を開いた高さが518mmだと考えると、非常にコンパクトに作られたアンテナだと言えますが、手元で見ると「思ったより大きい」と感じる方も多いです。

まとめ

UAX5はコンパクトながら非常に優れたアンテナであることから、難視聴地域以外ではUA20の代わりに使ってもいいと思いますし、屋根裏へ設置するアンテナの工法としても十分検討に値するものだと思います。
こういったアンテナも積極的に使うといいと思うのですが、工事会社目線で言うといくつかのポイントがあります。

  1. UL14より性能が劣るが仕入れ価格が高い
  2. コンパクトであることに価値を感じるお客様と、少しでも性能が高いことに価値を感じるお客様がいる
  3. お客様の中には大きいアンテナであることに価値を感じるお客様もいる
  4. アンテナ本体が軽いので設置強度が心配な場合に使いやすい
  5. おそらく、UA20などに比べて雪の積もる量が少ない
  6. アンテナの固定部分が反射器の更に後ろ(アンテナ後端)にあるため、マストの後ろにアンテナをはみ出させたくない場合に使える
    1. 受信方向の壁面設置
    2. 敷地越境のリスク軽減
    3. 屋根上の太陽光パネルへの鳥の糞害予防など
雪の多い地方や屋根の勾配きつい場合、屋根の形状が特殊な場合などにサイドベースで設置する場合にも選択肢の一つとして考えてもいいと思いますが、そういう場合は屋根裏へのアンテナ設置も検討されるといいと思っています。

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当社では本記事の執筆にあたり、2022年末に経済産業省と数日間にわたる協議を行い、スターリンクの専用ケーブルにPoEで流れる電圧・電流の観点から、スターリンクの固定配線工事は「電気工事士の資格が必要であり、電気工事業の登録も必要な工事に該当する」との見解をいただいております。
この見解は、スターリンクが公表している技術仕様や例外規定を当社側から共有した上で、慎重に検討いただいた結果です。単なる断片的な情報提供ではなく、工事内容の具体的な実態を踏まえた総合的判断として確認を行っています。

しかしその後、X(旧Twitter)にてあるユーザーが経済産業省に確認したところ「無資格で工事できる」との回答を得たと発信し、大きな反響を呼びました。
当社でもこの発信内容を受け、同様の問い合わせ内容をもとに改めて経済産業省電力安全課に確認を行った結果、「スターリンクの固定配線工事は電気工事に該当する」との見解に変更はないとの明確な回答を、2023年12月27日付で再度いただいております。
この際、当社ウェブサイトに掲載している本ページの内容も経済産業省側でご確認いただいたうえでの回答です。

なお当社では、誤解を招く表現や答えを誘導するような問い合わせは一切行っておらず、事実と意見を明確に区別して情報提供を行っています。判断を下すのはあくまで、法令の解釈に責任を持つ省庁であり、私たちはその公式見解に基づいた正確な情報発信に努めております。
この記事では、スターリンクの一般的な設置工事において求められる資格・届出に関する事実を、中立的かつ客観的にお伝えすることを目的としています。

  • 2023年1月15日 軽微な作業と軽微な工事を混同するような記述の訂正、電気工事士法の追加引用、引用の順番の整理など一部加筆・訂正を行いました。
  • 2023年12月27日 こちらの記事の背景情報を冒頭に追記しました。
  • 2023年12月27日 スターリンクケーブルが弱電流電線なのかの見解を追記しました。
  • 2023年12月29日 経済産業省の細心の見解を確認しました。合わせて冒頭の文章の一部を変更しました。総務省の見解を追記しました。
  • 2023年12月31日 トレーラーハウスへの設置事例を追記しました。

2022年10月11日に日本でもサービスが開始されたSpaceXの衛星インターネットサービスのStarlinkですが、工事の際には注意が必要です。
工事の内容と資格・許認可の有無によっては違法工事になります。

無資格業者へ依頼して工事を行ってしまった場合、ただちに何かしらの罰則があるとは限りませんが、知識や技術がある人であれば資格は持っているでしょうし、法令順守で丁寧な工事を行う会社なら許認可は取得しているだろうと考えています。

目次(矢印クリックで開閉)

Starlinkの導入に熱心なファンがSNSで導入報告を競う中、複数の工事会社がStarlink設置工事の受付を開始しています。
衛星アンテナの確実な固定が重要であるため、アンテナ工事を専門とする会社への問い合わせが増えています。
アンテナ工事の経験がこの工事にも大いに役立つと思われますが、実際にStarlinkの設置工事を行う際には、特別な資格や許認可が必要なのでしょうか。

STARLINKの設置工事は多くの場合電気工事になります

Starlinkのインストールにおいて、アンテナの設置・据え付け自体は電気工事には当たりません。ルーターの設置、および付属のLANケーブルの接続も問題ありません。
では何が電気工事になるのでしょうか。

アンテナ工事と電気工事業法、電気工事士法、施行令第一条(軽微な工事)

ここでまず、当社でもよく訊かれる「アンテナ工事は電気工事士ではなくても工事ができる理由」について説明します。
家庭用のブースターは主にセパレートタイプと呼ばれるものが使われており、ブースター電源ユニットとブースター本体間のアンテナ線には15V~20V(現在の主流は15V)前後の電気が重畳(ちょうじょう:電気信号以外に機械の動作電流が重ねて流されること)されています。またBSアンテナは15Vの電気を使うため、BSアンテナに直接繋がっているアンテナ線にも電気は流れています。
電気の流れている線、つまり電線の取扱いにおいて、電気工事士の資格や電気工事業の許認可は不可欠ですが、電気工事士法施行令第一条では、小型変圧器の二次側の配線が36V以下の場合は、この配線の工事についてはそもそも電気工事ではないとされています
そのため、電気工事士以外が配線工事を行うことも問題はなく、会社が電気工事業の許可を取得していなくても問題ありません。
※ブースター用も含めコンセントの作成など電気工事に携わる場合やエアコン工事については許認可が必須です。

販売に伴う工事

また経済産業省のよくある質問(電気工事)のQuestion1には以下のように記述されています。

Question1:電気工事業法における、「電気工事」とは何か。
Answer:・・・家庭用電気機械器具(ラジオ、テレビ、扇風機、冷蔵庫、ストーブ、こたつ、電灯等で、主として家庭で使用されるもの)の販売に付随して行う工事も、この中に含まれません。

引用:https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/files/kouzi-gyo-QA201803.pdf

これはエアコンの販売に伴う取り付けや、アンテナやブースターを販売に伴う取り付けの場合は電気工事にあたらない、とも解釈できます。
ただし、販売店の下請け業者が行う取り付けはこの例外に含まれません。

電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法) 第二条より、電気工事業の定義

電気工事業の業務の適正化に関する法律
(定義)
第二条
この法律において「電気工事」とは、電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第二条第三項に規定する電気工事をいう。ただし、家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事を除く。
  1. この法律において「電気工事業」とは、電気工事を行なう事業をいう。
  2. この法律において「登録電気工事業者」とは次条第一項又は第三項の登録を受けた者を、「通知電気工事業者」とは第十七条の二第一項の規定による通知をした者を、「電気工事業者」とは登録電気工事業者及び通知電気工事業者をいう。
  3. この法律において「第一種電気工事士」とは電気工事士法第三条第一項に規定する第一種電気工事士を、「第二種電気工事士」とは同条第二項に規定する第二種電気工事士をいう。
  4. この法律において「一般用電気工作物」とは電気工事士法第二条第一項に規定する一般用電気工作物を、「自家用電気工作物」とは同条第二項に規定する自家用電気工作物をいう。
引用:e-GOV:電気工事業の業務の適正化に関する法律(昭和四十五年法律第九十六号)

電気工事士法 第二条より、電気工事業法における電気工事の定義

電気工事士法
(用語の定義)
第二条
この法律において「一般用電気工作物」とは、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。
  1. この法律において「自家用電気工作物」とは、電気事業法第三十八条第三項に規定する自家用電気工作物(発電所、変電所、最大電力五百キロワット以上の需要設備(電気を使用するために、その使用の場所と同一の構内(発電所又は変電所の構内を除く。)に設置する電気工作物(同法第二条第一項第十八号に規定する電気工作物をいう。)の総合体をいう。)その他の経済産業省令で定めるものを除く。)をいう。
  2. この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く
  3. この法律において「電気工事士」とは、次条第一項に規定する第一種電気工事士及び同条第二項に規定する第二種電気工事士をいう。
引用:e-GOV:電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)

電気工事士法施行令 第一条より、政令で定める軽微な工事の定義

電気工事士法施行令
第一条 電気工事士法(以下「法」という。)第二条第三項ただし書の政令で定める軽微な工事は、次のとおりとする。
  1. 電圧六百ボルト以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧六百ボルト以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
  2. 電圧六百ボルト以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧六百ボルト以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
  3. 電圧六百ボルト以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
  4. 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が三十六ボルト以下のものに限る。)の二次側の配線工事
  5. 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
  6. 地中電線用の暗(きよ)又は管を設置し、又は変更する工事
引用:e-GOV:電気工事士法施行令(昭和三十五年政令第二百六十号)

Starlinkの工事に関係するのは電気工事士法施行規則第二条第一項(軽微な作業)

前述した電気工事士法施行令によると、36V以下の二次側電線の工事はそもそも電気工事ではない、ということがわかりました。
Starlinkもテレビ放送のBSアンテナのように電気を使って動いています。ではStarlinkのアンテナにつながる配線には何ボルトの電線がつながっているのでしょうか。
※BSアンテナは15Vで動いています。たったの15Vですが電気の流れてるアンテナ線をショートさせると火花が出ます。

第一世代キット

SNSなどでStarlinkのACアダプターの画像やスペック表が公開されていますが、それをみるとPoE(Power over Ethernet)電圧は(最大)56Vのようです。 アンテナに雪が積もるのを防ぐ融雪機能も付いているようなので、そのせいかもしれません。
なおフェーズドアレイアンテナなので、それ自体の消費電力もそこそこあるようです。

第一世代のスターリンク
第一世代のスターリンクの梱包
スターリンク起動直後
スターリンク第一世代キットの取り付け事例(クリックで施工事例へ)

第二世代キット

starlink-router-PoE-output
2022年12月ではすでに新型アンテナ(長方形のアンテナ)セットに切り替わっていますが、こちらはPoE電圧が48Vに改変されていました。
スターリンクアンテナマスト底面の表記
アンテナマスト底面にも電圧電流の表記があります。あたりまえですがこちらはInputになっていますね。
グランピング施設へのスターリンクインストール
グランピング施設へ第二世代スターリンクキットの取付

第二世代のアンテナキットはACアダプターを使っておらず、ケーブルも独自形状の専用ケーブルをルーターからアンテナに接続する仕様に変わっています。

ハイパフォーマンスモデル(ビジネスモデル)

富士山の山小屋から撤去したハイパフォーマンスモデル(ビジネスモデル)のスターリンクアンテナ
富士山の山小屋から撤去したハイパフォーマンスモデル(ビジネスモデル)のスターリンクアンテナ
ハイパフォーマンスモデルの電源ユニット
こちらの電源ユニットにも出力等が記載されています

2023年の山開き前に設置し、閉山後に撤去したスターリンクのアンテナです。消費電力が大きいこともあり、スターリンクケーブルは標準タイプより太いものが使われています。

第三世代キット

12月11日から米国で通常販売され始めたモデルで、アンテナの自動調整機能(アクチュエーター)のないモデルです。ですがアンテナの面積が大きくなっており、フェーズドアレイアンテナの特性上、それなりに電力を消費します。
海外バージョンの電源ユニット(power supply)の表記を見ると、57.0V、3.42Aとなっていますのでさらに取り扱いに注意が必要になりそうです。

ここで電気工事士法施行規則第二条第一項を見てみましょう。 この条項では、電気工事の中でも軽微な作業(施工者本人に電気工事士の資格を求めないもの)について記述があります。

電気工事士法施行規則 第二条

電気工事士法施行規則
第二条 (軽微な作業)法第三条第一項の自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
  1. 次に掲げる作業以外の作業
    1. 電線相互を接続する作業(電気さく(定格一次電圧三百ボルト以下であつて感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)
    2. がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。ハ、ニ及びチにおいて同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
    3. 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
    4. 電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
    5. 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
    6. 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
    7. 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
    8. 電線、電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
    9. 金属製の電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
    10. 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
    11. 接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
    12. 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
  2. 第一種電気工事士が従事する前号イからヲまでに掲げる作業を補助する作業
引用:e-GOV:電気工事士法施行規則(昭和三十五年通商産業省令第九十七号)

上記に書いてある作業は電気工事の中でも軽微な作業ではないということになり、電気工事士の免許が必要になるという意味です。 すると、上記ハ、ニにあたるような作業は電気工事士ではないとできないことになります。 Starlinkのルーターからアンテナ本体までのLANケーブルを投げっぱなし(転がし配線)にするのであれば問題ありませんが、多くの方がきれいに配線したいと思うのではないでしょうか。これは電気工事士の作業になるので、個人的な使用(DIY)の場合でも資格は必要です。自宅の電気コンセントを無資格で勝手にいじってはいけないのと同様です。 また業として行う場合(つまり、仕事として請け負う場合)は個人(個人事業主)か法人かにかかわらず、電気工事業の登録が必要になります。 一般の方にはわかりにくいルールなので、実は電気工事業の登録のない(電気工事においては素人の)アンテナ工事会社などもStarlinkの工事を請け負います、などと言っている場合があります。※本人が無自覚でも違法工事です

弱電流電線について

富士電線株式会社さんの公開している資料(https://www.tokyo-fuji.co.jp/pdf/products/faq/trt-4-2.pdf)では以下のような解説があります。

弱電流電線とは

電芯線、電話線に用いる銅線、ケーブルをさしており次のようなものが考えられる。

  1. インターホン、拡声器等の音声の伝送回路
  2. 高周波またはパルスによる信号の伝送回路
  3. 最大使用電圧が10V以下で、試用電流が5Aを超えない電気回路
  4. 短絡電流が1mA程度以下の電気回路
  5. 電圧の最大値が60V以下の直流電気回路で、第237条第1項に規定する小勢力回路に準じたもの

小勢力回路とは

電磁開閉器の操作回路又は呼鈴、警報ベル等に接続する電路であって、最大使用電圧が60V以下のもの(最大使用電流が、最大使用電圧が15V以下のものにあっては5A以下、最大使用電圧が15Vを超え30V以下のものにあっては3A以下、最大使用電圧が30Vを超えるものにあっては1.5A以下のものに限る)で、かつ、対地電圧が300V以下の強電流電気の伝送に使用する電路と変圧器で結合されるもの。

スターリンクケーブルは弱電流電線なのか?

第2世代(国内現行型)スターリンクはPoE Output 48V 2.0Aと書かれていますので、この定義に照らし合わせると小勢力回路ではなく、つまり弱電流電線にはあたらないと考えられます。

電気工事にあたらない取り付け事例

車両にスターリンクを設置する場合は、電気工事士法の範疇ではなくなります。この場合管轄は国土交通省になります。
実際に行動を走行する車両に取り付ける場合は、電気工事よりも固定方法や寸法などの制限が出てくると思われますが、今回は調査していません。私有地に置かれたトレーラーハウスの場合はそれらの制限もありませんが、トレーラーハウスを移動する際には事前に確認を行い、状況によっては一時的に取外しが必要になるかもしれません。

トレーラーハウスへのスターリンク取付
トレーラーハウスは建築物ではありませんので、電気工事にはあたりません。ただし、元がトレーラーハウスであったとしても、土地に固定して使う場合などは電気工事士の資格が必要になると考えられます。

こちらは電気事業法第二条にて示されています。

電気事業法 第二条

電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号
(定義)
第二条
  1. 電気工作物 発電、蓄電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。
引用:e-GOV:電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)

総務省の見解

今回再確認のきっかけとなった一連のポストですが、その中に以下のようなものがありました。

ツイート引用
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表現にあいまいな部分がありますが、この文章だけでは「総務省の権限によってスターリンクケーブル(スターリンクアンテナ線と表記されたものがこれを指していると当社で判断)およびLAN配線について、電気工事士の資格や電気工事業の登録が必要ない」とも読み取れます。そのため当社では念のため総務省に以下の質問を行っております。

  1. 総務省がスターリンクケーブルを造営材へ固定する工事について、例外として電気工事士の資格が必要ないと言うことはあるのか
  2. 本来電気工事関連は経済産業省が管轄になると思うが、総務省と経済産業省の間に特別な取り決めや例外規定があり、電気工事士の資格が必要ないということはあるのか
  3. スターリンクケーブルの加工は工事担任者の資格が必要か

電気通信事業課の見解

1について「こちらで判断することはない。電気工事に関連する法律は経済産業省が管轄です。」
2について「省をまたぐ取り決めなどは本庁に確認してください。」
3について「スターリンクケーブルの加工には工事担任者の資格が必要です。」

衛星通信事業部の見解

大代表の受付の方からの代弁として「もろもろ管轄外だと思うので別のところへ」

電気通信事業部電気通信技術システム課の見解

1について「管轄は経済産業省なのでこちらで何か言うことはありません。」
2について「この件について特別な取り決めなどはありません。」
3については既に明らかだったため質問しませんでした。

総務省の見解まとめ

  1. 電気工事関連の法律の適用を受けるかどうかについては総務省では判断していない
  2. スターリンクケーブルの加工には工事担任者の資格が必要

補足

この工事担任者と言う国家資格ですが、LANケーブルや電話線等の加工をする際に必要な国家資格です。当社では防犯カメラやLAN配線工事を本格的に始めるにあたり、以前このあたりの必要資格について確認したことがあります。その際に言われたことはISP(インターネットサービスプロバイダ―)が設置するルーターの一次側(ルーターよりも上流)のケーブルの加工には工事担任者の資格が必要だが、二次側は必要ないと言われていました。今回はこのISPの一次側のケーブルということになるからではないかと考えています。
余談ですがこの件に関しては工事担任者の資格を管理する一般財団法人日本データ通信協会では見解が異なります。こちらでは総務省の見解を伝えたうえでもルーターの二次側も工事担任者の資格が必要だと言っています。当社では安全を考慮し、二次側であってもLANケーブルの加工は工事担任者が行うことを原則としています。

トラブルを避けるためには

違法工事にならないためには、その会社概要に電気工事業の登録が明記されているか確認しましょう。
電気工事業の登録業者はその表記を会社のよく見える場所に掲示する義務があります。
古物商許可等と異なり、自社のウェブサイト上で表示する義務はありませんが、登録業者が自社のホームページに登録番号を明示しないメリットはなく不自然ですので、明示されていない会社はほぼ電気工事業の登録がされていない会社だと思っていいでしょう。
多くのアンテナ工事専門会社は電気工事業の登録がなく、電気工事について知識が足りていないように思います。
スターリンクの工事について電気工事だと一切触れない会社はNGです。
くれぐれも無免許・無許可営業の業者への工事依頼を行ってトラブルに巻き込まれないようにお気を付けください

どんなトラブルが考えられるのか

  1. 知識のない人の施工による事故
  2. 電気工事士の免許がないまま電気工事を行うのは、無免許のタクシーに乗るようなものです。免許を持っていれば無事故だとは言いませんが、何のための免許なのか考えてみましょう。
  3. 万が一の事故の際に保険が適用されないリスク
  4. 工事会社が損害賠償保険に加入していたとしても、無免許や無許可で行った工事(不法行為)にまつわる事故に対して保険金を支払ってくれるとは思えません。電気火災が起きてしまった際に、工事会社が保険を使えないために損害賠償を行えないという事態も起こりえます。そもそも素人の工事なので事故のリスクも上がっていると考えられるでしょう。

お問い合わせはこちらから

2022年9月5日に発売になったばかりの新製品、高性能小型地デジアンテナUAX5のレヴューです。
型番からも想像できるように5素子タイプのパラスタックUHFアンテナ(地デジアンテナ)です。
5素子の高性能アンテナは日本アンテナからAU5AX、マスプロ電工からLS56の2機種が出ています。
以前はちょっと変わった形の高性能3素子アンテナが八木アンテナから出ていましたが、ご存じの通り今はもうなくなってしまいました。
満を持してDXアンテナがこの分野に投入したアンテナの実力を、取り付けやすさ、実際の電波受信状況などを試してみました。
他のアンテナとの性能比較はこの次に紹介予定です。
(さらに…)

お客様からよく聞かれる質問の一つに「デザインアンテナは八木式アンテナより性能が低いのでしょうか」というものがあります。
電話などで聞かれた場合は丁寧に説明しておりますが、改めてこちらでも図解付きで解説したいと思います。

(さらに…)