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DXアンテナから新発売の小型八木式アンテナUAX5

UAX5(DXアンテナ)

DXアンテナから新発売の小型八木式アンテナUAX5

UAX5(DXアンテナ)

2022年9月5日に発売になったばかりの新製品、高性能小型地デジアンテナUAX5のレヴューです。
型番からも想像できるように5素子タイプのパラスタックUHFアンテナ(地デジアンテナ)です。
5素子の高性能アンテナは日本アンテナからAU5AX、マスプロ電工からLS56の2機種が出ています。
以前はちょっと変わった形の高性能3素子アンテナが八木アンテナから出ていましたが、ご存じの通り今はもうなくなってしまいました。
満を持してDXアンテナがこの分野に投入したアンテナの実力を、取り付けやすさ、実際の電波受信状況などを試してみました。
他のアンテナとの性能比較はこの次に紹介予定です。

外見上の特徴

  1. 軽い

  2. まずアンテナとしては非常に軽いです。
    重さは540gしかありませんので、まもなく発売のiPhone14と比べると大体3台分ぐらいの重さですね。
    この写真はGalaxy S22 Ultraで撮影していますが、こちらだと2台ちょっとぐらいの重さになります。
    テレビの受信用のアンテナの重さが、スマートフォン3台分程度と考えると非常に軽いのではないでしょうか。

  3. コンパクト

  4. 公式情報では寸法は276×377×560(mm)となっていますが、持ってみた印象は大分小さいです。
    ちなみに日本アンテナのAU5AXのサイズは272×356×595、マスプロ電工のLS56のサイズは544×390×560です。
    日本アンテナの方が高さと幅がやや小さく少し長く、マスプロ電工の方が長さは一緒で幅がやや広く、高さに関しては非常に大きくなっています。

  5. 組み立て不要

  6. 一般的な八木式のアンテナは箱から出して組み立てる必要がありますが、UAX5は組み立ての必要がほとんどありません。
    まずパラスタック(上下二段になっている)の素子はすでに立ち上がっており、給電部(アンテナ線を接続する部品)も固定済みです。
    箱から出した後は反射板を上下に広げ、蝶ナットを締めるだけです。
    全体的にコンパクトなので、無理に外装の体積を減らすよりも、工場と現場の工数を減らすことや余計なギミックを減らしてコストダウンにつながっているのではないでしょうか。

    UAX5箱を開けたところ
    組み立て不要な分若干箱に厚みがありますが、全体的にコンパクトなので気になりません。

    UAX5は組み立て不要
    固定用の段ボールを外すと全体の形がよくわかります。

アンテナの性能

電波測定結果

UAX5電波測定結果
LEVEL(dBuV)MER(dB)BER
16TOKYO MX38.729.20
2167.8320
22TBS67.4320
2365.8320
2467.2320
2565320
2666.1320
2766.3320
3035.324.30
3249.3320

TOKYO MXが弱いのは地域的に仕方ないことです。またチバテレやテレ玉はアンテナの方向が異なるので場合によっては全く受信できなくてもしょうがないものですが、測定地点である営業所の屋根の上ではスカイツリーと近い方向にチバテレの放送塔があり、テレ玉は全く方向が異なるものの同じさいたま市内に放送塔があることから電波が受信できていると言えます。
広域民放5局とNHK2局を合わせた標準7局についてはMER,BERといった電波の品質が最高値を出しています。
受信レベルは十分高く、ブースターを組み合わせれば全く問題ないでしょう。
※分配器や経路による電波損失を15dBμV、季節や天候による電波損失を最大6dBμVと仮定し、テレビ端子から57dBμV以上の電波レベルを確保することを理想と考えた場合。
他のアンテナと同条件で測定した比較データについては次回のコラムで紹介予定です。

考察

小さく使いやすいが取り付け方に注意

UAX5の反射器とアンテナ固定用支線の干渉
この写真はテスト設置ですが、実際に触れていると支線が緩んだり反射器が折れてしまう場合があります

マスプロ電工のLS56に比べると非常にコンパクトにはなっているものの、従来一般的な八木式のアンテナとは異なり先端一カ所でマストに固定する形状になっているため、上下に開いた反射器が支線と干渉しやすいということ。
アンテナを新規に設置する場合は、マストにあらかじめ固定した状態でマストを回しながら方向調整を行うことも多いと思います。
支線リングがアンテナに近いと、マストを回転させた時に支線と反射器が干渉してしまうかもしれません。
20素子のアンテナの場合、アンテナの中央をマストで固定するため反射器はマストから離れており、アンテナの下に張った支線と干渉することはほぼありません。
そのため設置の際には少しだけ気にしておくといいでしょう。

対応マストは25mm~37mm

マスト固定金具は非常に小さくできています。
DXアンテナの標準的なアンテナは25mm~49mmまでのマストに対応しているものが多いのですが、このアンテナは37mm径(実質的な規格では32mmまで)のマストまでの設計になっていることに注意が必要です。

価格が高め

メーカー希望小売価格は6950円(税込7645円)の設定です。
例えば標準アンテナのUA20はメーカー希望小売価格7800円(税込8580円)ですが、おそらく工事会社への卸価格ではUAX5の方が高額になることでしょう。

想定される設置シーン

  1. 小型で反射器の先端一カ所で固定する形状から、アンテナの後ろをマストよりはみ出させたくない場合など。
    • アンテナが敷地境界を越えてしまいそうな場合
    • 太陽光パネルの上などにアンテナをはみ出させてくない場合(影や鳥フン対策)
    • 壁面への設置(受信方向の壁面)
  2. 風が強い地域の利用
    アンテナ自体が軽く、耐風速50m/sになっているので強風で心配な地域で利用。
  3. 屋根裏への設置
    屋根裏は柱に邪魔されて八木式のアンテナ設置には向いていませんが、これだけコンパクトであれば屋根裏へも設置しやすいでしょう。
  4. 軒から立ち上げた設置
    壁面の高さでは電波が受信できない場合や、片流れなど屋根上にアンテナが設置できない場合に、軒などから立ち上げたマストに設置するには軽くてコンパクトなことは有利です。

総合評価

点数と所感

★★★★☆(4/5点)
見慣れない(地域によってはよく使われている場合もあるかもしれませんが)ことから奇抜な印象を受けるかもしれないことと、小型であるため標準的なアンテナよりも若干性能が劣ってしまうことがマイナス。
今回のテストでは標準的な電波が受信できるエリアで、見晴らしのいい高さでテストをしているため、標準以下の電波レベルの場所で実際にどこまで力を発揮できるかが未知数。
しかしそれを補えるほどの小型化と高性能を両立できているのは素晴らしい。
工事業者への流通価格が下がれば、携帯性も良好なことから小さめの工事車両などで常用アンテナとして装備してもいいと思える。
ただし少し不安なのは、他のアンテナと比べ(これは次回公開予定)指向性が弱めになっていると感じられる点にある。
パラスタックタイプでありながら半値幅は35~56度(UA20は28~52度、UAX20は22~44度)となっており、実際に試験場所において方向が大きく外れたテレ玉の電波を他のアンテナに比べて強めに受信できてしまっている。
ビルなどが多く反射波が入り乱れる地域においてはノイズを拾ってしまい品質が落ちてしまうかもしれない。

製品仕様

品名 高性能形UHF14素子アンテナ
型番 UAX5
素子数 5(パラスタック式)
受信チャンネル(ch.) 13〜52
偏波面 水平または垂直
出力インピーダンス(Ω) 75(F形)
動作利得(dB) 7.2〜10.5
VSWR 2.5以下
半値幅(度) 35〜56
前後比(dB) 13〜21
耐風速(m/s) 50
寸法(高さ×幅×奥行㎜) 276×377×560
適合マスト径(㎜) φ16〜37
質量(kg) 0.54
付属品 F-5接栓(リング付き)×1、防水キャップ×1、

※耐風速は破壊風速(アンテナに風圧を加えている間アンテナの一部または全部が飛散しない最大風速)。

次回はほぼ同じ条件で様々なアンテナと受信性能の比較を行ったのでそちらを紹介したいと思います。
なおクラウンクラウンでは現在こちらのアンテナは標準工事料金で取り扱いが可能ですが、常時十分な在庫を用意するまでではありませんので、事前にご希望をお知らせいただけると助かります。

DXアンテナから新発売の小型八木式アンテナUAX5