DXアンテナから八木式の5素子パラスタックアンテナです。
型式はUAX5。UHFのAll channelタイプでXはパラスタック、5は素子数を表しています。
テストから4か月近くたちましたが、ようやくまとめたので公開します。
目次
今回のテスト内容
当社社屋の屋根の上に設置してある、アンテナ試験用のマストに取り付けて計測しています。

比較したアンテナ
- DXアンテナ UA20(標準アンテナ)
- DXアンテナ UA14
- DXアンテナ UL14
- DXアンテナ UAX5(新型アンテナ)
- DXアンテナ UAH201(フラットデザインアンテナ)
- マスプロ電工 U2SWLA20(フラットデザインアンテナ)
- マスプロ電工 U2SWLA26(26素子タイプフラットアンテナ)
- サン電子 SDA-5-1(5素子相当小型デザインアンテナ)
- サン電子 SDA-5-1(マストの先端に設置パターン)
- マスプロ電工 U2CN(ユニコーンデザインアンテナ)
比較内容
各アンテナの金具固定位置を同じ高さに設置し、東京スカイツリーの電波が一番良好に受信できる方向を向けて測定。
ただしU2CN(ユニコーン)はマストの頂点に設置となるため、他のアンテナよりも高い位置で測定している。またSDA-5-1(小型デザインアンテナ)は他のアンテナと同じ高さの測定と、ユニコーンと同じ高さの測定を行っている。
試験場所
日時:2022年9月8日 12時~15時ごろ
天気:曇り(試験開始時に小雨有)
場所:株式会社クラウンクラウン社屋屋根上
〒339-0061 埼玉県さいたま市岩槻区岩槻6837
スカイツリーから約30km
地上高約10m
あらかじめ試験用に固定されたアンテナマストへの固定
測定データ
受信レベル(dBμV)
Modulation Error Ratio(dB)
Bit Error Rate
解説
一般的な八木式アンテナとローチャンネルタイプ、新製品のUAX5に加えて、いくつかのデザインアンテナを比較指定します。
小型デザインアンテナのSDA-5-1については、ユニコーンと比較しやすいようにマストの頂点近くに設置したものも掲載しています。
グラフはGoogleチャートの都合上6種類のアンテナに絞ったものにしています。あまり大きな差はないのですが、これはもともと「電波のいい場所ではアンテナを変えても結果はあまり変わらない」ということの結果をあらわしているとも言えます。
アンテナの特徴とUAX5の能力
アンテナはスカイツリーに向けて測定していますが、船橋局のチバテレと浦和局のテレ玉の電波も測定しています。アンテナが向いている方向と異なるので、指向性の強いアンテナほどテレ玉やチバテレが他のチャンネルより弱くなります。
八木式アンテナはスカイツリーの電波と比べてチバテレ、テレ玉の電波の受信が弱くなっています。
UAX5については今回比較したアンテナの中ではSDA-5-1の上の性能(下から2番目)ですが、十分な受信結果が出ています。今回はスカイツリーエリアなので低い周波数帯の比較しかできていませんが、一般的に標準と言われるUA20(全チャンネル対応20素子アンテナ)とそん色ない結果が出ています。
パラスタックのアンテナは指向性が強くなるので、テレ玉など今回方向が異なる電波はあまり受信できないかと思われましたが、5素子とコンパクトであるためか14素子、20素子のアンテナよりも格段に強く受信できていました。ただフラットタイプのアンテナの方がそういった受信が得意だというのがわかりやすく出ています。
一般チャンネルの受信についてはフラットタイプとほぼ変わりません。そのためフラットタイプのアンテナから置き換えることはできると思いますが、UAX5の特徴はアンテナ自身の高さがないことから屋根裏などで高さが確保しづらい所でも設置ができる場合があることと、本体が軽くマストの先端に取り付けて高い位置に設置しやすいことにあります。
もしかしたら予想外の結果かも
今回のラインナップで一番強いと思われたのは「八木式アンテナ換算で26素子相当の」U2SWLA26でしょうか?それとも今回のテスト機中八木式で一番素子数の多いUA20でしょうか?
当社の施工事例や比較コラムを読んだことのある方なら予想がついたかもしれませんが、一番高い位置に設置したU2CN(八木式換算14素子相当)でした。比較的見晴らしのいい場所ですが、それでも高さの差が出ていましたね。
高さの差による受信状況の変化についてはSDA-5-1の比較を見てもらうとわかりやすいでしょう。
次はUL14です。UA20よりも結果がいいことに驚く方も多いかもしれませんが、以前からお伝えしているようにスカイツリーなどの低めのチャンネルでは20素子のUA20よりもいい結果が出ることが多いです。スカイツリー以外の電波受信エリアで、50chなどの高い周波数を受信する場合には不向きですが、UA20よりコンパクトで性能がいいので、八木式アンテナを設置するならこちらがお薦めです。もちろん上位機種にUL20というアンテナもありますが、多くの場合そこまで必要はないでしょう。
梱包で比べるアンテナの特徴

ちなみにUA20,UA14,UAX5の寸法は、高さ、幅、奥行き(長さ)で比べると以下のようになります。
UA20:518 × 340 × 1374 0.98kg
UA14:518 × 340 × 1014 0.85kg
UAX5:276 × 377 × 560 0.54kg
上記写真でもわかる通り、幅が少し広くなっていますが、高さはだいぶコンパクトになっています。


UAX5以外のアンテナ梱包比較

いわゆるプラチナバンド(800MHz帯)とは710~960MHzの周波数のことを言いますが、以前テレビ放送で使われていたUHF53ch~62chにあたる710~770MHzを含んだ周波数のことです。そのため古いアンテナとブースターでは、この周波数に割り当てられた携帯電話の電波を拾って増幅してしまい、テレビの視聴に影響が出る場合があります。
以前の職場でクレーム処理責任者をやっていた時、別会社(一人親方)の方がローチャンネルタイプのアンテナ料金(通常より高い)で標準アンテナをつけた。とクレームが入って再設置になったことがあります。お客様が下から見上げてゴムキャップの色が違う、と指摘されたようですが、そういうこともあるのですね。当社では料金の違いはありません。(ローチャンネルタイプのアンテナの方が仕入れ価格が高いので、工事料金が追加になるところが多いのはわかります)
外形寸法では一番外側の寸法の表記になるので、場合によっては細かい寸法の違いが数字に出てきません。アンテナを見てUA14とUL14のどちらなのか判断するのは非常に難しいでしょう。



ちなみにU2SWLA20、U2SWLA26の寸法は、高さ、幅、奥行きで比べると以下のようになります。(突起部を除いたアンテナ部のカタログ寸法)
U2SWLA20:577 × 210 × 58 約1.5kg
U2SWLA26:620 × 240 × 58 約1.8kg
UA14の反射器を開いた高さが518mmだと考えると、非常にコンパクトに作られたアンテナだと言えますが、手元で見ると「思ったより大きい」と感じる方も多いです。
まとめ
UAX5はコンパクトながら非常に優れたアンテナであることから、難視聴地域以外ではUA20の代わりに使ってもいいと思いますし、屋根裏へ設置するアンテナの工法としても十分検討に値するものだと思います。
こういったアンテナも積極的に使うといいと思うのですが、工事会社目線で言うといくつかのポイントがあります。
- UL14より性能が劣るが仕入れ価格が高い
- コンパクトであることに価値を感じるお客様と、少しでも性能が高いことに価値を感じるお客様がいる
- お客様の中には大きいアンテナであることに価値を感じるお客様もいる
- アンテナ本体が軽いので設置強度が心配な場合に使いやすい
- おそらく、UA20などに比べて雪の積もる量が少ない
- アンテナの固定部分が反射器の更に後ろ(アンテナ後端)にあるため、マストの後ろにアンテナをはみ出させたくない場合に使える
- 受信方向の壁面設置
- 敷地越境のリスク軽減
- 屋根上の太陽光パネルへの鳥の糞害予防など
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