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ローカルチャンネル(地方局)の受信と混合工事

ローカル局のキャラクター

はじめに

関東では一般的に民放キー局5局(日本テレビテレビ朝日TBSテレビ東京フジテレビ)とNHK2局(総合、Eテレ)(※以下まとめて基本チャンネル)を受信・視聴されていることが多いと思います。
これに加えて、ローカルチャンネル(ローカル局・地方局)としてTOKYO MXテレ玉(テレビ埼玉)TVK(テレビ神奈川)チバテレ(千葉テレビ)とちテレ(とちぎテレビ)群馬テレビなどを同時に視聴したいという方も多くいらっしゃると思います。
実際にこれらを受信するにはどうしたらいいのでしょうか。
2019年12月の最新事情を追記しています。

受信方法

受信方法には以下のパターンがあります。

  1. メインの電波塔(スカイツリーなど)に加えて別の中継局からローカル局の電波を受信する
    • アンテナを増設する方法
    • 一つのアンテナで複数の電波塔の電波を受信する方法
  2. メインの電波塔(中継局の場合)からローカル局の電波が同時に受信できる

実際の受信

スカイツリーで基本チャンネルを受信しつつ、ローカル局を別の放送塔から受信する場合、確実性を高めるにはそれぞれ別のアンテナを設置することです。
アナログ放送時代は、東京タワーからの電波がVHF、ローカル局の電波がUHFと電波の帯域が異なり、アンテナ自体も異なっていたため、東京タワーエリアでは多くの家にVHFのアンテナとUHFのアンテナが設置されていました。VHFで基本チャンネル、UHFでローカルチャンネルの受信とわかりやすい仕組みになっていました。
現在は基本チャンネル、ローカルチャンネルのすべてがUHFでの放送となったため、地デジで使用されているのはすべてUHFアンテナです。とても便利になった反面、やや混乱してしまうこともあったかもしれません。
例えばさいたま市などでは、地デジ化前から立てていた「テレ玉受信用のアンテナ」でそのままスカイツリーの電波を受信している家も多くあります。これは地デジ化の際にトラブルにもなったことですが、そのままでも受信できる家、方向を調整すれば受信できるようになる家、などが多くあったにもかかわらず「地デジ化後はアンテナを新しくしないとテレビが見られなくなります」と、嘘をついたのか、もしくは知識が足りなかったのか、そうやって高額工事を請求する工事会社が多く現れました。
話を戻しますが、実際に「そのままでも地デジ化に対応できた家」が多数あったことからもお分かりのように、そもそもテレ玉を受信するためのアンテナで、スカイツリーの電波(地デジ化当初は東京タワー)も受信できてしまっているということです。
本来アンテナは電波の受信方向に向けないと、十分に受信性能を発揮できないわけですが、アンテナの正面以外の電波をすべて遮断してしまうわけではありません。
いわゆるラッキー受信ではあるのですが、このように一つのアンテナで複数の電波塔の電波を受信することができる場合があります。これはたまたま電波塔の方向が重なっていた場合に限った話ではなく、建物の場所や周りの障害物の環境など複雑な条件が重なった結果となります。また、最近ではフラットタイプのものをはじめ、デザインアンテナが普及していっていますが、アンテナの特性から八木式アンテナ(フィッシュボーン型)よりも広い角度で電波を受けやすいものが多いです。
そのアンテナの特性や設置場所により、電波の受信に大きな影響があります。
デザインアンテナの場合は、正面から広く電波を受信しやすいため、正面に複数の電波塔がある場合に同時に電波を受信できることがあります。その反面、建物の壁面に設置した場合は、背面が建物となるため、背面からの電波の受信は著しく弱くなります。
八木式アンテナは指向性が強く、横方向からの電波受信が著しく弱くなる半面、屋根の上など周囲が開けている環境では、背面からの電波も受信しやすいという特徴があります。
また、デザインアンテナを屋根裏に設置した場合などは、広い範囲からの電波を受けやすくなる場合もあります。
これら条件により、一つのアンテナで複数の電波塔から基本チャンネルとローカル局の電波を受信できる場合があります。

電波の強さの差

スカイツリーの電波だけで言っても、各チャンネルにより受信状況が異なる場合があります。ましてや、複数の電波塔の電波を比べると、その受信状況は著しく異なる場合があります。
本来はすべてのチャンネルの受信状況が等しく、状況がいいことが望まれます。しかし、なかなかそううまくもいかないことから、それぞれの電波塔に向けて電波の強さを考慮してアンテナの選定を行います。例えばスカイツリーには20素子、テレ玉には14素子のアンテナを設置する、などということも考えられます。
また、混合器にはアッテネーター(減衰器:電波を弱める機器)スイッチが内蔵されているものもありますので、電波の強い方のアッテネータースイッチをオンにすることで、バランスを整えることができます。
このように電波の強さを平均化することで、すべてのチャンネルを視聴できるようにします。これはブースターを使用する場合は更に重要となります。

地方中継局の場合

中継局では、同時にローカル局を発信している場合もあり、その多くは基本チャンネルとローカル局の電波の強さが同等に発信されています。※埼玉県鬼石・神泉中継局は基本チャンネルとテレ玉の電波の強さが異なる。
埼玉県秩父中継局では基本チャンネルとテレ玉が同様に発信されています。
なお、スカイツリーは基本チャンネル以外にTOKYO MXの電波も発信していますが、それぞれ10kw、3kwと電波の強さに差があるため、バランスよく受信するのが難しくなっています。ですが、東京都青梅中継局などでは基本チャンネルとTOKYO MXが同等の強さで発信されているため、スカイツリーエリアよりもTOKYO MXの電波が安定受信しやすいとも言えます。

混合器の種類

混合器には地デジと地デジを混合するもののほかに、BSやFMなどを混合するものもありますが、今回は地デジと地デジの混合器について説明します。

オールバンドタイプ

UHF13ch~52chまでの電波とUHF13ch~52chを混合します。
原則どんな場合でも使用できるため、流通量も多く、価格も安いものがあります。
混合させる二つの電波が干渉しない場合にはこちらで十分です。

特定地域タイプ

入力部分にフィルターが内蔵されていて、余分な電波をできるだけ抑えて混合することができます。
例えば関東地区用ともいわれるDXアンテナのUUM-204Jを見てみましょう。

特定地域地デジ混合器【関東】UUM-204J
UUM-204Jは【13ch~28ch】と【30ch~52ch】を混合します

UUM-204Jは片方の入力からは13ch~28ch、もう片方の入力からは30ch~52chの電波を受け入れるようになっています。
スカイツリーからの電波は16chがTOKYO MX、21ch~27chが基本チャンネルとなり、テレ玉は浦和電波塔の場合で32ch、チバテレは千葉放送塔(船橋市)の場合で30chとなっていますので、これらを混合するための混合器となります。
例えば、さいたま市では前述したように、一つのアンテナでスカイツリーの電波も浦和電波塔の電波も受信してしまう場合があります。ただし、その場合でも安定受信とはならない場合に、二つの電波を混合する方法がとられます。この際、浦和電波塔に向けたアンテナもスカイツリーの電波(特に反射波)を強く受信してしまう場合など、オールバンドタイプの混合器を使用すると電波干渉が起きる場合があります。また、UUM-204Jはそれぞれの入力にアッテネータースイッチが備わっているため、必要に応じて電波の強い方を減衰してあげるとバランスが取れます。
他にも関西地区用のUUM-210Jなどもあります。また、以前は細かく京都地区用、神奈川地区用、奈良地区用などいろいろありましたが、DXアンテナでは現在販売が終了しております。
神奈川県用(東京スカイツリー+TVK)混合器としては、サン電子からHM-202TAという製品がありますが、こちらは受注生産品となっています。(13ch~16ch,20ch~28ch:MXTV+民放キー局+NHKと18ch,30ch~62ch:TVK,テレ玉,チバテレを混合できる優れもの)

事例

群馬県前橋中継局と埼玉県児玉中継局の混合

前橋中継局と児玉中継局ようにバランスよく地デジアンテナを設置
前橋中継局と児玉中継局ようにバランスよく地デジアンテナを設置

群馬県と埼玉県の境界近くでの施工事例です。
UAH201(八木式20素子相当のフラットアンテナ)前橋中継局から基本チャンネルとぐんまテレビを受信し、SDA-5-1(八木式5素子相当の小型デザインアンテナ)を垂直偏波用に設置し、児玉中継局からテレ玉を受信(実際には基本チャンネルも受信)しています。
ややまれなケースですが、二つの中継局のどちらも基本チャンネルの発信をしている電波を混合しています。
前橋中継局と児玉中継局の基本チャンネルは周波数(物理チャンネル)が異なっており、電波も水平偏波、垂直偏波と異なっているためオールバンドタイプの混合器でも混合できます。また、基本チャンネルについては、前橋中継局と児玉中継局のいいとこどりができます。

スカイツリーとテレ玉の混合

スカイツリー用のアンテナにテレ玉用のアンテナを追加設置・混合
草加市で既存のスカイツリー用のアンテナにテレ玉用のアンテナを追加設置・混合工事を行った事例

当初スカイツリー用に立てたアンテナではテレ玉が受信できなかったため、テレ玉受信用にアンテナを追加しました。
受信感度の調整として、アンテナを単純に追加するのではなく、スカイツリー用のアンテナを下げ、最頂部にテレ玉用のアンテナを設置しています。
混合器にはアッテネータースイッチがあったため、アッテネーターによる受信レベル調整も可能でしたが、アッテネーターを使用しないで受信レベルの平均化が行える方がより良い結果になることが期待できます。

一つのアンテナで複数の電波が受信できている事例

基本チャンネル以外に複数のローカル放送などを同時受信している画像
スカイツリー、浦和局(テレ玉)横浜局(TVK)東京タワー(放送大学)の同時受信となっています。

環境がいいと一つのアンテナでこのようにいくつもの電波塔から良好に電波受信ができる場合があります。
放送大学は2018年9月で終了となりましたが、この時点では東京タワーから出ています。
つまり、スカイツリー、東京タワー、浦和電波塔、横浜電波塔からの電波を受信できています。
単純にアンテナを高く上げればいいということでもありません。なおこのような受信はたまたま運がいい状態と言え、周囲のちょっとした環境変化でローカルチャンネルが受信できなくなる可能性があります。
ちなみにこれはつくば市の事例です。

ブースターの最適化(追記)

ここまでいくつかの事例とともにお話してきましたが、アンテナ工事に欠かせないのはブースターの存在です。
最近は標準型と高性能型を使い分けることがほとんどなくなり、メーカー各社もそれらを一つにまとめた切り替え式ブースターを採用しています。
ブースターとは電波を強くする機械で、アンテナで受信できている電波がアンテナ線を流れるうちに弱くなったり、各部屋に分ける(分配器を設置する)ことで弱くなる分をあらかじめ補うという役割があります。
一般局(スカイツリーの電波:NHKと民放キー局)とローカル局(その他の放送塔)の電波の強さに大きな差があった場合に問題があります。
少し前に説明したように、本来は混合器を使用し、それぞれの電波の強さをできるだけ均一に近づけることが望ましいです。ですが一つのアンテナで受信できてしまっている場合などはそもそも混合していないので電波の強さをチャンネルごとに調整することはできません。
そこでブースターを使用する際には、電波の強いチャンネルが強くなりすぎない(定格出力を超えない)ように調整する必要があるため、弱いチャンネルが十分に強くならないという問題があります。
これは一般によく知られていることではありますが、実は最近のブースターではもう一つ問題となる事例があります。
それは、一番強い電波がある一定のレベルを超えている場合、ブースターの能力を下げて使用します。
つまり、高性能タイプとして使用するのではなく、標準タイプとして使用すのですが、今までのブースターでは高性能タイプと標準タイプを切り替えて使うのではなく、高性能タイプに入ってくる電波をあらかじめ弱める(アッテネーターをオンにする)ことで、標準タイプと同様の出力に調整するという仕組みになります。
ここで問題なのは、メインの電波が十分に強くローカル局の電波がギリギリの受信の場合です。
あらかじめ弱められた時点で、ギリギリだった電波は修復不可能なダメージを負ってしまいます。
そのため電波の強さに差があると、うまく受信できないことが多くありました。

本当の切り替え式ブースターの登場

2019年7月ごろにマスプロ電工より新型のブースターが発売されました。

新製品は【UB45SS】【UBCBW45SS】【BCBW35SS(A)】の3機種ですが、地デジ非対応(BS/110度CS専用)のBCBW35SS(A)を除いた2機種についての話です。

これは他のメーカーのように、標準型と高性能型を組み合わせたブースターなのですが、切り替えがアッテネーターを使用した疑似的なものではなく、実際に二つのブースターを切り替えて使用することができます。
そのため、ギリギリでも電波が受信できていれば他の曲と電波の強さに差があった場合でも、うまくブースターで強さを補える可能性が非常に高まりました。
クラウンクラウンでは2019年12月初旬より、標準工事で使用するブースターをこれらに変更しました。
実際に今までのブースターと比べてみてもいい結果が出ています。

まとめ

一つのアンテナで簡単にいくつものローカル局が受信できてしまえることがある反面、そうでない環境でローカル局を受信しようとすると工事が難しくなり、費用もかさんでしまいがちです。
大事なのは実測値をもとに、適切なアンテナや機器の組み合わせで工事を行うことです。
ご不明点等はお気軽にご相談ください。

ローカル局のキャラクターたち

ローカル局それぞれにイメージキャラクターがあり、ツイッターや専用のウェブサイトが作られている場合があります。

テレ玉君(テレ玉)

カナガワニ(TVK)

てれすけくん(とちテレ)

ポチッとくん(群馬テレビ)

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