テレビアンテナの設置を検討される際、ケーブルの色について疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。特に「白いアンテナケーブルはすぐに劣化してしまう」という話を耳にすることがあります。実際のところ、白いケーブルの寿命はどれほどのものなのか、またなぜ屋外用ケーブルは黒が主流なのかを詳しく解説します。
屋外に設置されたケーブルは、直射日光に含まれる紫外線(UV)によって劣化します。紫外線がプラスチックの分子を破壊し、ひび割れや粉状の劣化(チョーキング現象)を引き起こすのです。
黒いアンテナケーブルにはカーボンブラック(炭素黒)が含まれており、これが紫外線を吸収・分散する役割を果たします。そのため、内部の素材がダメージを受けにくく、白いケーブルに比べて耐久性が大幅に向上します。
「黒は熱を吸収しやすいから、逆に劣化が進むのでは?」と疑問に思われるかもしれません。しかし、カーボンブラックには熱を分散し、均一に放出する効果があります。
屋外に設置されたケーブルは、日中の高温と夜間の低温の繰り返しによって膨張・収縮を繰り返します。これがひび割れ(クラック)の原因となるのですが、カーボンブラックが熱を均一に拡散することで温度変化によるストレスを抑え、長寿命化につながるのです。
ゴムや塩化ビニル(PVC)製のケーブル被覆は、酸素やオゾンと反応することで酸化劣化を起こしやすくなります。カーボンブラックにはラジカルを吸収して酸化の連鎖反応を抑える効果があり、これにより屋外での長期使用でも劣化を遅らせることができます。
ラジカルとは、不対電子を持つ非常に反応性の高い分子のことです。これが周囲の物質と反応することで、酸化や分解が進行します。紫外線や熱によって生成されやすく、ゴムやプラスチックの劣化の原因になります。カーボンブラックはこのラジカルを吸収・安定化することで、酸化の進行を防ぎます。
結論から言うと、白いケーブルでも高品質なものであれば比較的長持ちします。 しかし、次の点を考慮する必要があります。
当社では、以前は外観に合わせて白いケーブルも積極的に使用していました。高品質なケーブルを選んでいましたが、結局、白いケーブルは汚れやすい、劣化が目立ちやすいなどの欠点もありました。そのため、現在では屋外配線については黒いケーブルを使用することを推奨しています。
白いケーブルがすぐにダメになるというわけではありませんが、