工事の詳細説明
今回の工事は、当社が法人様向けに多くご依頼いただいている「正規代理店経由で購入されたスターリンク機器の設置事例」です。
ビジネス用途で使われるスターリンクには「高性能ムーブ」「高性能フラット」「エンタープライズ」などの種類がありますが、現在は高性能ムーブが割引販売されているため、導入件数が増えています。
今回は正規代理店様の工事担当による事前調査・見積もりに基づいた相見積もりでしたので、標準工事と比べて一部仕様や設置方法に違いが生じる場合もあります。
現地に伺って設置場所の再検討

当初は、見積もり段階で写真の丸で囲った位置への設置が提案されていましたが、現地調査の結果、当社では別の位置を選定しました。主な理由は以下の通りです。
- 障害物チェックを行った結果、右側に障害物があり、通信の妨げになることが判明したため
- アンテナの高さを確保できる、立ち上がりの高い壁を選んだため
- アンテナを固定するマストや金具のバランス、強度、安全性を考慮したため
このように、実際の現場での状況をふまえ、最適な設置場所を選定しています。
アプリを使った障害物シミュレーション

元々指定されていた設置場所は高さが低く、施工性には優れていましたが、アンテナを十分な高さで固定できないため、強度面で課題がありました。また、写真には写っていませんが、右側に隣接する棟が高いため、スターリンクアプリの障害物チェックでも遮蔽物として認識されました。
そのため、できる限り障害物から離れた位置に設置したことで、より安定した通信環境を実現できました。
なお、現場の制約上これ以上左側には設置できませんでしたが、さらに左端付近まで持っていければ、より良好な通信品質が期待できたと考えられます。
コンクリートアンカーを打ち込むための屋外電源
屋外での工事では、電源の確保が課題となることがよくあります。
当社では、スターリンクの設置試験や各種工事のため、持ち運び可能なポータブル電源を常備しています。
今回もこのポータブル電源を活用し、コンクリート面に専用のドリルで穴を開け、ステンレス製コンクリートアンカーを安全かつ確実に打ち込むことができました。

配線の引き込みはコンクリート壁を貫通

今回は配線を屋内に引き込むため、コンクリート壁に専用ドリルで穴あけ工事を行いました。
当社では、現場ごとに最適なサイズ・種類のドリルを取り揃えており、コンクリートや各種壁材にも安全かつ確実に対応可能です。
壁への穴あけが必要な場合も、お客様のご要望や建物状況に合わせて、丁寧に施工しています。
屋内配線の工夫と設計ポイント
コンクリート壁を貫通した先は屋内廊下の天井裏となっており、天井内を経由して指定の場所まで安全に配線しています。
高性能ムーブでは、アンテナから電源ユニット(PoEインジェクタ)までの専用スターリンクケーブルが最長25mに制限されています。これより長い純正ケーブルは現時点で販売されていません。そのため、アンテナと電源ユニットの設置場所は事前に十分な検討が必要です。
過去に役所屋上で設置した際は、非常電源から屋上まで電源ケーブルを引き、屋上でシステムを完結させた上で、LANケーブルのみを下階に配線するといったご提案も行いました。
スターリンクを災害時の通信バックアップ手段として活用する場合、通信だけでなく電源の確保も重要なポイントとなります。当社では現場状況に応じて最適な設計・配線計画をご提案しています。
施工のポイント
今回の設置では、40A(直径48.6mm)の2mマストを採用し、十分なアンテナ高を確保しています。
配線には高耐候性のPFD管を使用し、複雑な経路でも施工性を高めつつコスト削減を実現しました。
なお、不特定多数の人が触れる場所や、メンテナンス性が悪い場所では、安全性や耐久性の観点から金属管配管を推奨しています。一方で、複雑な経路の場合は金属管配管だと施工時間やコストが増加する点にご留意ください。
今回は、非常時にも使用可能な回線としてスターリンクを導入していますが、PeplinkなどのマルチWANルーターを組み合わせたネット回線の冗長化・自動切替設計もご提案可能です。BCP対策や通信インフラの強化をご検討の際は、ぜひ当社までご相談ください。
工事料金
本事例の工事料金は非公開となっておりますが、当社ではできる限り構成例や料金目安を公開し、お客様が事前に費用感を把握できるよう努めております。
実際の工事料金は、施工内容や現場状況、特に法人向けの案件では規模や設計要件によって大きく異なる場合があります。
ご予算やご要望に応じた最適なご提案・お見積もりをいたしますので、お気軽にご相談ください。
※詳細な現地調査・正式お見積もりには所定の調査費用がかかります。あらかじめご了承ください。