DFS(Dynamic Frequency Selection、動的周波数選択)とは、5GHz帯の無線LAN機器が、気象レーダーや航空レーダーなどの既存のレーダーシステムと周波数帯域を共有するための技術です。具体的には、無線LAN機器がレーダー信号を検知した場合、自動的に他のチャンネルに切り替えることで、レーダーとの干渉を避けます。この機能は、日本国内では法律で義務付けられており、5GHz帯対応のルーターやアクセスポイントにはDFS機能の搭載が求められています。
DFS機能が有効な場合、ルーターは起動時にチャンネルの状態を検出し、DFSチャンネルを使用するか非DFSチャンネルを使用するかを判断します。DFSチャンネルが割り当てられた場合、チャンネル可用性チェック(CAC: Channel Availability Check)を行う必要があり、この期間中は5GHz帯の信号は利用できません。このチェックには1~10分かかることがあり、その間は2.4GHz帯を利用するか、チェック完了後に5GHz帯を使用することになります。
通常の動作中に、現在使用しているチャンネルでレーダー信号を検知した場合、ルーターは伝送を停止し、他の利用可能なチャンネルに動的に切り替えます。この際、接続されているWi-Fiデバイスは一時的にネットワークから切断され、再接続されるまでの間、通信が中断されることがあります。
DFS機能は、無線LAN機器がレーダーシステムと共存し、干渉を最小限に抑えるための重要な技術です。適切に設定・運用することで、安全で安定した無線通信環境を維持することができます。
詳細については、以下の公的資料をご参照ください:
「無線LANのDFSにおける周波数有効利用の技術的条件」
この資料では、DFS機能の技術的背景や運用条件について詳しく解説されています。