中古物件に引っ越した際、テレビが映らなかった場合にやるべきこと、点検のポイントを紹介します。
最初に確認すること
- 以前の住人はどうやってテレビを見ていたか
- 建物にアンテナは設置されているか
- ブースター本体とブースター電源が設置されているか
- 屋外の引き込み線はどのようになっているか
以前の住人はどうやってテレビを見ていたか
可能であればここを確認することが重要です。アンテナで見ていたのか、それともCATVや光ケーブルで見ていたのかによって状況は大きく変わります。
アンテナの場合はそのまま映ることが多いのですが、それでも映らないという場合、原因はかなり限定されます。
点検依頼でもこういった事例がときどきあります。
CATVや光ケーブルなど要するに有料のサービスでテレビを視聴していた場合は、原則として引き継がれません。同様に有料サービスを申し込むかアンテナ工事を行う必要があります。ただし、いくつか例外があります。例えば当初アンテナでテレビを視聴していた方が途中からCATVなどに切り替え、引渡し前にCATVの解約を行った場合、CATVの工事の方がもともとあったアンテナに配線を繋ぎ変えてくれている場合があります。この場合はそのままそのまま視聴できる可能性が高いです。
建物にアンテナは設置されているか
前項と重なる部分もありますが、アンテナが設置されているかは重要です。今はもう少なくなりましたが、アンテナはついているけどよく見るとアナログの時のアンテナしかたっておらず、地デジアンテナは設置されていない、ということもあります。これは、以前の住人が地デジ化する前に引っ越してしまい長年空き家になっていたケースや、地デジ化前にCATVや光ケーブルに切り替えたものの、アナログアンテナを撤去せずに残していた場合などが考えられます。
ともかく、ここで地デジアンテナが設置されていなければアンテナ工事か別途有料サービスの申し込みが必要です。
なお、パッと見てわからなくても、地デジアンテナは屋根裏に設置されているという場合もあります。
また、CATVで地デジを視聴し、自前のBSアンテナでBSをご覧になっているケースもあるので、BSアンテナだけは設置されているという場合もあります。
ブースター本体とブースター電源が設置されているか
アンテナが設置されている場合の話ですが、ほとんどの場所でブースターは設置されていると思います。以前に点検に伺った事例でもブースターは設置されていたのですが、この写真では確認できませんね。
アンテナの足元に設置されているのですが、近くから見上げても屋根に隠れて見えないことが多いです。最近はアンテナのすぐ近くに地デジブースターを設置するメリットが少ないため、電源と一緒に分配器の近くに設置されていることが多いです。これは分配器がユニットバスの天井点検口の中に電源とともに設置されていたりすることで、設置しやすくなったという背景も関係します。逆に言うと、地デジアンテナだけなのにブースターが屋外に設置されているということは、分配器の近くに電源がなかったり、そもそも分配器がない(昔はアンテナ端子を数珠つなぎに配線するのが一般的でした)、分配器までアクセスできない(点検口からアクセスできないような屋根裏の中に設置されているなど)、または電波が非常に弱いなどが考えられます。
写真の事例ですが、まさにこのパターンでした。
分配器はユニットバスの上に設置されていたのですが、そこにブースター用の電源が設置されていませんでした。
そうすると、おのずと原因が絞れてきます。
屋外の引き込み線はどのようになっているか
写真のケースについてはもうすでに原因が絞れているのですが、引き込み線の状態を確認することもヒントとなります。
引き込み線がアンテナにつながっている、もしくはつながっていそうだという場合で、ここまでの条件でも絞れていない場合は総点検が必要になる場合もあります。
中にはCATVのように外部から有線がつながっているという場合もあります。それなのにテレビが映らないのであれば有線のサービス(物理的なアンテナ線というだけではなく)が建物側ではないところで切断されていると考えられます。有線が必ずしも有料のCATVとは限らず、マンションなどの電波障害補償で供給されているものや地域で立てている共同アンテナからの接続ということもあります。
この無償の有線接続の場合も、もとで切断されているのではなく、写真の事例と同様の原因ということもあります。
テレビが映らなかった原因と対策
写真の事例
写真の事例ではブースターの電源がなくなってしまっていました。
前述したように、ブースター電源がユニットバス上(分配器設置場所)になかった時点でほぼ決まりなのですが、以前の住人はブースター電源を部屋の中に置いていたと考えられます。そうすると、引越しの時にテレビ関連機器だと勘違いして一緒に持って行ってしまうということがたびたび起こります。
それであれば、現在設置されているブースターに対応する電源を設置してあげれば解決です。
一般的には15Vなのですが、以前の八木アンテナ(現在の株式会社HYSエンジニアリングサービス)が販売していた地デジブースターは20Vのタイプがあるので注意しなくてはいけません。
どこかのアンテナ端子(もしくは直接引き込まれている線の場合もあります)から電気が流せる(送れる)ようになっているはずなので、一カ所ずつ電源をつなげて、テレビが映るかを確認すれば解決です。
ご自身で解決させたいという場合に、ブースターの電源は手に入りにくい、という場合に裏技があります。
それは、テレビの「BSコンバーター用電源」を利用するやり方です。
電源が流せる端子から、通常はテレビ(もしくはレコーダー)の地デジ入力にアンテナ配線を差し込みますが、この配線を分波器(もしくは分配器)を使用して二股に分けます。その二本を地デジ入力、BS入力に差し込みます(※分配器の場合BS側が電流通貨端子になっていること)。そして、テレビまたはレコーダーの設定メニューから「BSコンバーター電源」をONにすればいいのです。
ただし注意点が三つあります。
一つは、ブースターが15Vタイプであること、もう一つはテレビの場合に「連動」ではなく「常時ON」が選べること、レコーダーが設置されている場合はレコーダーで行う(アンテナ線に最初につながっている機器)ことです。
テレビの場合はBSチャンネルを選択している時だけ、もしくはテレビの電源が入っている時だけ電源がONになるというものがあります。その場合この裏技は使えませんのでご注意ください。※電気が流れていないときは家全体のどのテレビも映りません。
なお、この方法を推奨するわけではなく、本来はブースターを丸ごと入れ替えるのが一番お勧めです。
その他のパターン
ほとんどここまでで触れていることですが、今回のようにブースター電源が撤去されていた、ということ以外では以下のようなことが考えられます。
- 引越し前と放送局が違っているため、チャンネルを設定し直す必要がある
- アンテナに配線がつながっていない・断線している
- ブースターが故障している
- アンテナがアナログの時のもの
- 関東圏の場合、アンテナが東京タワーに向いている(適切な方向に向いていない)
- そもそもアンテナが設置されていない
- テレビの配線がうまくいっていない
例えば県外などから引っ越しをした場合、電波塔が変わり、テレビの設定チャンネルを変更する必要があるかもしれません。その場合はテレビの設定メニューからチャンネルスキャンをすれば直ります。中にはNHKだけ映らない、なんてこともあります。例えば平塚中継局と東京スカイツリーでは民放キー局とEテレが同じチャンネル(周波数)なのですが、NHK総合が別チャンネルとなっています。ほかにTVKとTOKYO MXがトレードオフの関係にあります。(スカイツリーはTOKYO MXを発信しているがTVKは発信していない)
アンテナケーブルの断線の場合、下から見上げてもわからないことも多いのですが、屋根からアンテナ配線がぶら下がっているなど目視で確認できる場合もあります。
また、ブースターが故障している場合や、ブースター電源がつながっていないなどの場合は、テレビで電波状況を見てみると全く電波を受信していない表示になりますが、アンテナの方向がずれていたり、接触不良などの場合は、わずかながらでも電波を受信している表示になることが多いです。これはテレビの電波受信レベルなどでも確認することができ、多くのテレビのサブメニューボタンから確認できます。
おおよそ以上となりますが、この場合は原則として専門業者に見てもらうのが一番です。なお、長年人が住んでいなかった場合や、引越し直前にリフォーム、リノベーションを行った場合は配線がうまくつながっていないなどのトラブルもわずかながらに考えられます。
仲介業者、前の住人、リフォーム会社などと連絡が取れる場合は、以前の状況を聞いてみると解決の糸口になるばかりか、無料で対応してもらえる可能性もありますので、まずはそちらに連絡を取ってみましょう。
なかなか答えが返ってこなかったり、対応がいまいちだと感じた場合はお気軽に弊社までご相談ください。
中には、テレビの電源は挿したものの、アンテナ線を挿していなかったなんてこともあります。ご自身でつなげたことがない方は意外と気づかないこともありますね。