アンテナの取付け状況についてはアイキャッチ画像の通りなのですが、ケーブル配線方法や、穴あけ、貫通後の処理などすべてにおいてプロが行った工事とは思えない内容でした。
スターリンクの固定に使われていたのは、日本アンテナのA1-HDと言う金具です。この会社では多く使われていたようですが、まず一番長いボルトの使う向きが逆です。パッケージに納める関係上、最初は逆向きに止めてあるのですが、下にある画像のようにボルトは内側から外に向かって差し込むことで、ボルトの頭が固定される形になっています。ワッシャーも適切に入れなおしていませんでしたが、アンテナ工事会社がこの金具の使い方を間違えていることに全てが表れていると感じました。
マストパイプは25mmタイプを使っていましたが、テレビアンテナよりもだいぶ重さがある機器なので、やはりここは32mmタイプを使いたいところです。
使用した金具とスターリンクの寸法が合わなかったところを、別のマストパイプとともばさみすることでなんとか固定していました。しかしそのためだけのマストパイプが長く突き出していて、見栄えもいいとは言えません。しっかり固定されているようにも思いましたが、この第2世代のアンテナはケーブルを下から差し込み、金具で抜けないように押さえる仕組みになっているのですがその配慮もありません。ケーブルを抜けないようにするためか、単純に強く締めたかっただけなのか、本体が歪んでケーブルが抜けにくくなっていました。
金具は同じ型式のものを使っていますが、既存の金具は強度のない場所に取り付けてあったので、新しい金具をすぐ近くの別の場所につけなおしています。
テレビアンテナ工事会社として、大手と言われる会社ですので、穴をあけてケーブルを通す作業はそれなりに実績があるだろうと思われますが、断熱材に対する配慮がなく、ドリルで断熱材を巻き込んでしまっていたようです。
室内の仕上げも、目隠しとしてコンセントカバーを直接打ち付けており、満足度の低い仕上がりになっていました。
壁を切ってコンセントプレート仕上げにすることで、断熱材へのダメージを最小限に抑えることができます。この現場で写真を撮り忘れてしまいましたが、写真にあるような(別現場)防気カバーを設置することで、ケーブル取り出し口の隙間から風が出入りするのを低減しています。
スターリンクケーブルは耐候性があるものですが、当社では固定する場合はケーブル表面の傷や長期使用を考えてケーブルの保護を行っています。
今回の手直しでは、ケーブルの配線ルートや固定方法に問題があると感じました。見栄えに関しては感覚的な部分もあるので一概に良し悪しは決められませんが、丁寧な施工には見えませんでした。
ビスの頭にコーキングをするよりビス穴にコーキングが入り込むようにしたほうが防水性も上がります。錆びやすいビスの場合、頭の錆止めの効果はあります。
壁とボックスをパイプが貫通していますが、屋外のパイプの出口にはコーキング(合成ゴムポリマーシーラント)を施してあり、防水、防虫効果を高めています。入り口と出口の隙間をパテで埋めることで、断熱欠損も最小限に抑えられていると思います。
実はこの工事会社のテレビアンテナ工事手直しは過去に何度も行っています。テレビアンテナは、テレビが映ってさえいればわざわざ手直しする事例は少ないのだろうと思いますが、当社で受けた事例のいくつかは「映っているが手直ししたい」と言ったものでした。
会社は大きくなっても改善されていないことは残念でなりません。SNSなどでも「大手」と言われている会社ですので、業界の見本となるような工事を行っていただきたいものです。
初回取付けと、不具合が出た際のアンテナだけの交換工事それぞれ10万円以上の工賃がかかったそうです。
当社の工事価格の方が安く済んでいますが、当社の方が丁寧に工事をしていると思います。アンテナ交換工事の際に発行した領収書に印紙も貼られておらず、遵法意識も疑わざるを得ません。
こういった業者はごく一部だと信じたいですが、検索上位で大手と言われるような会社でも、こういった内容かもしれないと気にしながら工事業者を選定していただきたいと思います。誠実で高品質な工事会社はいろいろありますが、こういった会社に光が当たってほしいと考えています。
伝票をなくしてしまって覚えていないとのことでしたが、10万円以上は軽く超えていた、と伺っています。
領収書にある通り税込み110,000円だったそうです。
取り外し工事が必要だった分、割高になってしまっています。これ以外にエリア別出張料金がかかっています。(記事作成時、深谷市は税込み4,400円)
既存金具の取り外し、ビス穴のコーキングを含む
配管工事・穴あけ・開口部分のスリーブパイプ設置・屋外ボックス設置・室内コンセントプレート仕上げ・防気カバー設置などを含む