「スターリンク」という名前を聞いたことがあるでしょうか?最近注目されている、民間の宇宙開発企業SpaceXが提供する革新的な衛星インターネットサービスです。
本記事では、スターリンクの仕組み、メリット・デメリットだけでなく、様々なプランの内容や料金、契約方法、解約方法、プランの変更手順、さらには契約権の移譲方法なども詳しく解説していきます。スターリンクを利用する上で必要となる手続きや費用、対応できる状況などを幅広く取り上げ、サービスを上手に活用するためのポイントをお伝えします。
スターリンクは、SpaceXが展開する革新的な衛星通信サービスです。従来の地上通信インフラでは手が届きにくかった場所でも、低軌道を周回する多数の小型衛星からインターネット信号を受信することで、世界中どこからでも高速かつ安定したネット接続が可能になります。
利用するには専用の受信アンテナとルーターが必要ですが、これにより農村地帯や開発途上国はもちろん、通信インフラが整備されにくい掘削工事現場や山間部でも優れたネット環境を実現できることが期待されています。実際、2024年1月の能登半島地震の際には、スターリンクが現地の復旧活動における通信確保に重要な役割を果たしました。被災直後のインフラ途絶の状況下でも、迅速にスターリンクが導入されたことで、緊急要請から進捗管理まで円滑な対応が可能になったのです。日本国内サービスは2022年10月に開始され、今後も災害時を含む様々な現場で、頼れる通信手段として大きな活躍が見込まれています。
現在の衛星数については以下のウェブサイトを参考にしています。
https://www.starlinkmap.org/
スターリンクの利用可能地域については以下より確認できます。
https://www.starlink.com/map
スターリンクでは、すでに約6,000基近くの衛星が低軌道に展開されており、そのうち5,600基を超える衛星がコンステレーション(衛星ネットワーク)を形成しています。地上の受信機から発信された電波信号は、このコンステレーションを構成する衛星群によって中継され、目的の場所にある別の受信機へと転送されます。
高度約550kmを高速で周回する衛星が、それぞれ特定のエリアをカバーするセルを構成。その結果、世界中のあらゆる場所から最低1機以上の衛星を捉えられ、低レイテンシーでブロードバンド級の高速インターネット接続が可能になるのです。まさに”地球規模のインターネット基盤”がスターリンクによって現実のものとなったといえます。
一見都会では不要に思えますが、都心部の一部でも光ケーブル未整備の地域があり、災害後の長期間の復旧待ちが避けられるなどメリットもあります。転居時も使用住所をアプリで変更するだけでスムーズに利用可能ですが、一部で工事が必要な場合もあります。
これらのデメリットを踏まえ、環境問題への配慮や、地球規模のインターネット網実現に向けた更なる改善が望まれます。日本国内では北側の空が開けていないと通信が困難な場合もあり、山間部などインフラ未整備地域でこそ真価が発揮されるかについては検証が必要です。ただし、当社の施工実績では、別荘地を含む木々に囲まれた場所でも十分な通信速度が確保できています。(※確認した下り通信速度150Mbps~370Mbps)
スターリンクは短い間隔で費用が変わることがあります。2022年10月に日本でサービス提供が開始されてから、2023年の1月までの3か月の間に2度の値下げがありました。また4月からは海外の一部の地域において「混雑している場所は10ドル値上げ、すいている場所は20ドル値下げ」と言ったメールも送られているようです。
2024年5月27日現在の月額料金は以下のようになっています。
※海外通信費のため消費税の対象外で、以下は非課税価格です。
※KDDIやソフトバンクなどの料金は以下と異なる場合があります。
レジデンシャルプランとRoamプランは初期費用(アンテナキット)が55000円、ビジネスプランは365,000円がかかります。以前はキット代に送料も含まれていましたが、現在ではキット代以外に別途送料がかかります。
モバイルプランとは車などにアンテナを設置して、文字通り移動しながら使えるプランです。初期費用(アンテナキット)が2,500ドル(約35万円)と案内が出ていますが、現時点で日本から注文することはできません。
2024年10月10日から規約が変更になり、小規模事業者でもビジネス用途で利用する場合はレジデンシャルプランでの契約は違反となりました。同時にROAMプランがモバイルプランと統合され、移動しながらの利用が可能になったとアナウンスがありましたが、日本国内では免許の関係で移動しながらの利用はできません。
Roamプランは国内のどこでも利用可能となっていますが、利用場所は陸上(海上ではない)で、移動しながらの利用は別契約が必要とアナウンスされています。
なおRoamプランを契約していると、公式サイトのサブスクリプション管理画面において、モバイル優先への切り替えが可能です。切り替えには以下のような説明があります。
モバイル優先データにオプトインすると、ネットワーク優先度をもって、海上アクセス、移動中の接続、グローバルな使用が可能になります。
つまり、モバイルプランを最初から契約することはできませんが、Roamプランからなら切り替えることができるようです。
法人で利用する場合でも、ビジネスプランを契約する必要はありません。現在はレジデンシャルプランやRoamプランの法人利用にも特に制限はありません。また大手通信会社(KDDIやソフトバンク)が代理店としてスターリンクのビジネスプランを独自展開していますが、スペースXに直接注文してビジネスプランを契約することもできます。
スターリンクを使う手順は以下の通りです。
自宅でスターリンクを使用する場合は、アンテナが強風で動かないように、また充分北の空が開けている場所に固定するのがおすすめです。
ただしスターリンクケーブルは36V以上の電気が流れる(第一世代で56V、第二世代で48V、第三世代で57V)ため、ケーブルを建物などに固定する場合は電気工事士の資格が必要です。その他の施工も軽微な電気工事(電気工事士の資格は不要)にあたるため、電気工事業の会社以外は請け負うことができません。
※DIYの場合(業として行うものでない場合)電気工事業の登録は不要ですが、電気工事士がケーブルを扱わなくてはいけません。
壁や軒天などに穴をあけて室内に配線を取り込むことになると思いますが、難易度が高くさまざまな道具も必要なので、プロに任せるのが一番効率がいいでしょう。
※実際の固定工事の際には設置手順が異なる場合があります。
広告で宣伝されているスターリンクの通信速度は最大で200Mbps+ですが、多くの事例ではそれ以上の速度が出ています。
下りの速度は比較的高速ですが、上りに関しては10Mbpsから40Mbps程度が多く、高画質のライブ配信などには向いていない可能性があります。ビデオ会議等では十分実用的な速度です。
下りの速度は十分速いため、複数人が同時に動画視聴などを行っても快適に使用できるでしょう。
第二世代のスターリンクは1台につき最大128台の端末が同時に接続でき、第三世代のスターリンクは1台につき最大235台の端末が同時に接続できます。
※Zoomの公式サポートによると推奨値は以下の通りです。
当社では全国でもトップクラスのスターリンク設置実績を誇っています。現在までに50例近くのさまざまな設置を行っています。
スターリンク衛星の増加に伴い、夜空の可視性への影響が懸念されています。天文学者らは、衛星の反射光が天体観測を妨げる可能性を指摘しています。SpaceXは、衛星の塗装や姿勢制御の改善などで、この問題への対策を講じています。環境への影響は今後も注視していく必要があります。
クラウンクラウンのスターリンク工事料金表は以下から。実際の工事料金がわかりやすいように、追加料金等も公開しています。※スターリンクの設置配線工事は電気工事士の資格と電気工事業の登録が必要ですのでご注意ください。
Starlinkのアンテナの種類(旧型・新型・高性能型)などもお知らせください。