スターリンクとは?その仕組みや利用方法、メリット・デメリットを徹底解説!

23区内のアパートでスターリンク設置完成写真

「スターリンク」という名前を聞いたことがあるでしょうか?最近注目されている、民間の宇宙開発企業SpaceXが提供する革新的な衛星インターネットサービスです。

本記事では、スターリンクの仕組み、メリット・デメリットだけでなく、様々なプランの内容や料金、契約方法、解約方法、プランの変更手順、さらには契約権の移譲方法なども詳しく解説していきます。スターリンクを利用する上で必要となる手続きや費用、対応できる状況などを幅広く取り上げ、サービスを上手に活用するためのポイントをお伝えします。

目次

スターリンクとは?画期的な衛星インターネットの仕組み

スターリンクは、SpaceXが展開する革新的な衛星通信サービスです。従来の地上通信インフラでは手が届きにくかった場所でも、低軌道を周回する多数の小型衛星からインターネット信号を受信することで、世界中どこからでも高速かつ安定したネット接続が可能になります。

利用するには専用の受信アンテナとルーターが必要ですが、これにより農村地帯や開発途上国はもちろん、通信インフラが整備されにくい掘削工事現場や山間部でも優れたネット環境を実現できることが期待されています。実際、2024年1月の能登半島地震の際には、スターリンクが現地の復旧活動における通信確保に重要な役割を果たしました。被災直後のインフラ途絶の状況下でも、迅速にスターリンクが導入されたことで、緊急要請から進捗管理まで円滑な対応が可能になったのです。日本国内サービスは2022年10月に開始され、今後も災害時を含む様々な現場で、頼れる通信手段として大きな活躍が見込まれています。

スターリンクの革新的な通信システム

スターリンクの基本情報

  • スターリンクは、米国の宇宙企業スペースXが提供する、低軌道衛星によるインターネット通信サービスである。
  • 2024年5月27日時点で、5,977基(プロトタイプを含む)の衛星が軌道に投入されており、そのうち5,601基による衛星コンステレーションを構築している。今後数年間で数万基の衛星を打ち上げ、世界中のあらゆる場所で高速なインターネット通信を提供することを目指す。
  • 低軌道衛星を使うため、従来の衛星通信よりも低い遅延時間(レイテンシー)を実現している。また、高速な通信速度が可能である。
  • スターリンクは、地上に設置した受信機を用いて通信を行う。受信機は約30cm × 50cm程度の小型であり、一般家庭にも設置可能である。
  • スターリンクのサービス提供地域は、徐々に拡大している。北米・ヨーロッパ・オーストラリア・ニュージーランドなどでサービスを提供しており、アジアでは2022年10月に日本でサービスが開始され、2023年2月にはフィリピンでも開始された。今後も地域を拡大する予定である。
  • 設置費用は約5万円~10万円程度であり、月額利用料は国によって大きく異なる。日本では6600円~(2024年5月時点)。
  • スターリンクは、主に農村部や山間地帯、海外などでインターネット通信が不十分な地域に利用されている。また、緊急時の通信手段としても利用可能である。

現在の衛星数については以下のウェブサイトを参考にしています。
https://www.starlinkmap.org/
スターリンクの利用可能地域については以下より確認できます。
https://www.starlink.com/map

スターリンクの衛星ネットワークで実現する"地球規模のインターネット"

スターリンクでは、すでに約6,000基近くの衛星が低軌道に展開されており、そのうち5,600基を超える衛星がコンステレーション(衛星ネットワーク)を形成しています。地上の受信機から発信された電波信号は、このコンステレーションを構成する衛星群によって中継され、目的の場所にある別の受信機へと転送されます。

高度約550kmを高速で周回する衛星が、それぞれ特定のエリアをカバーするセルを構成。その結果、世界中のあらゆる場所から最低1機以上の衛星を捉えられ、低レイテンシーでブロードバンド級の高速インターネット接続が可能になるのです。まさに”地球規模のインターネット基盤”がスターリンクによって現実のものとなったといえます。

スターリンクのメリット・デメリット

メリット

  • 高速なインターネット接続が可能
  • 衛星通信なので、世界中どこでも接続可能
  • 地球規模のインターネット網を実現する可能性がある
  • 天候や地形などの制限を受けにくい
  • 従来の衛星通信よりも低コストで提供可能
  • プランによっては持ち運んで好きな場所で利用可能
  • 災害時にインフラが途絶えた場合に簡単に利用できる
  • 光回線の開通を待つ必要がなく、すぐに使い始められる

デメリット

  • 衛星回線のため、地上回線に比べて通信の遅延が大きくなる可能性がある
  • 多数の衛星が運用されているため、衛星同士の衝突事故のリスクがある
  • 光害や宇宙ごみの問題を引き起こす可能性がある
  • 衛星が軌道上にある期間が短いため、衛星交換や維持費用がかかる
  • 衛星回線を利用するには地上局の設置が必要で、インフラ整備にコストがかかる
  • 自宅利用時、通信状況の安定した場所へのアンテナの固定が難しい
  • 自宅へのケーブル引き込み工事に工夫が必要
  • 周囲を木々に囲まれた場所など、開けた上空が無い場合は利用が困難※

一見都会では不要に思えますが、都心部の一部でも光ケーブル未整備の地域があり、災害後の長期間の復旧待ちが避けられるなどメリットもあります。転居時も使用住所をアプリで変更するだけでスムーズに利用可能ですが、一部で工事が必要な場合もあります。

これらのデメリットを踏まえ、環境問題への配慮や、地球規模のインターネット網実現に向けた更なる改善が望まれます。日本国内では北側の空が開けていないと通信が困難な場合もあり、山間部などインフラ未整備地域でこそ真価が発揮されるかについては検証が必要です。ただし、当社の施工実績では、別荘地を含む木々に囲まれた場所でも十分な通信速度が確保できています。(※確認した下り通信速度150Mbps~370Mbps)

スターリンクの料金や契約方法

スターリンクのプラン別月額料金

スターリンクは短い間隔で費用が変わることがあります。2022年10月に日本でサービス提供が開始されてから、2023年の1月までの3か月の間に2度の値下げがありました。また4月からは海外の一部の地域において「混雑している場所は10ドル値上げ、すいている場所は20ドル値下げ」と言ったメールも送られているようです。
2024年5月27日現在の月額料金は以下のようになっています。
※海外通信費のため消費税の対象外で、以下は非課税価格です。
※KDDIやソフトバンクなどの料金は以下と異なる場合があります。

2024年10月現在の金額
  1. レジデンシャルプラン(住所固定) 6,600円/月
  2. Roamプラン(国内のどこでも利用可能※旧RVプラン) 11,500円/月
  3. ボートプラン
    • モバイル優先-50GB 33,408円/月
    • モバイル優先-1TB 133,632円/月
    • モバイル優先-5TB 668,160円/月
  4. ビジネスプラン
    • 優先-40GB 9,600円/月
    • 優先-1TB 28,000円/月
    • 優先-6TB 168,000円/月
    • プライオリティ割り当て後は無制限の標準データ、プライオリティデータはGB単位で追加可能
  5. 陸上モバイルプラン 現在日本国内では利用不可
    ROAMプランに統合、しかし国内では移動中の利用は不可
  6. マリタイムプラン(現在内容はボートプランと同一)
    • モバイル優先-50GB 33,408円/月
    • モバイル優先-1TB 133,632円/月
    • モバイル優先-6TB 668,160円/月
料金表ではモバイル優先プランから2TBの表記はなくなっていますが、同時にモバイル優先(モバイルプライオリティ)プランはGB単位で追加可能と書かれています。
レジデンシャルプラン住所追加オプション 2,600円/月 廃止になりました。
2024年9月よりROAMプランは9,900円/月から値上げしました

レジデンシャルプランとRoamプランは初期費用(アンテナキット)が55000円、ビジネスプランは365,000円がかかります。以前はキット代に送料も含まれていましたが、現在ではキット代以外に別途送料がかかります。
モバイルプランとは車などにアンテナを設置して、文字通り移動しながら使えるプランです。初期費用(アンテナキット)が2,500ドル(約35万円)と案内が出ていますが、現時点で日本から注文することはできません。
2024年10月10日から規約が変更になり、小規模事業者でもビジネス用途で利用する場合はレジデンシャルプランでの契約は違反となりました。同時にROAMプランがモバイルプランと統合され、移動しながらの利用が可能になったとアナウンスがありましたが、日本国内では免許の関係で移動しながらの利用はできません。
Roamプランは国内のどこでも利用可能となっていますが、利用場所は陸上(海上ではない)で、移動しながらの利用は別契約が必要とアナウンスされています。
なおRoamプランを契約していると、公式サイトのサブスクリプション管理画面において、モバイル優先への切り替えが可能です。切り替えには以下のような説明があります。
モバイル優先データにオプトインすると、ネットワーク優先度をもって、海上アクセス、移動中の接続、グローバルな使用が可能になります。
つまり、モバイルプランを最初から契約することはできませんが、Roamプランからなら切り替えることができるようです。

法人で利用する場合でも、ビジネスプランを契約する必要はありません。現在はレジデンシャルプランやRoamプランの法人利用にも特に制限はありません。また大手通信会社(KDDIやソフトバンク)が代理店としてスターリンクのビジネスプランを独自展開していますが、スペースXに直接注文してビジネスプランを契約することもできます。

スターリンクの契約方法~使用開始まで

アンテナキットを公式サイトで購入する場合

  1. Starlinkの公式サイト(https://www.starlink.com/)にアクセスします。
  2. 利用場所の住所を入力し、利用可能かどうかを確認して手続きに進みます。
    ※住所の入力は郵便番号をハイフンなしで入力し、表示された住所を選択し、「価格を確認」ボタンをタップまたはクリックして先に進みます。
  3. 好みのプランを選択して申し込みます。
  4. 後日アンテナキットが届きます。
  5. アンテナを設置し、スマートフォンのアプリで購入時のアカウントにログインし、初期設定を済ませます。

コストコやau Online Shopなどで購入したアンテナを利用する場合

  1. コストコの実店舗やオンラインショップ、またはauOnlineShopなどでアンテナキットを購入します。※アンテナキットの購入については以下を参照。
    スターリンクの購入先は?コストコやauOnlineShopでのお得な購入方法を解説
  2. Starlinkの公式サイト(https://www.starlink.com/)にアクセスします。
  3. 利用場所の住所を入力し、利用可能かどうかを確認して手続きに進みます。
    ※住所の入力は郵便番号をハイフンなしで入力し、表示された住所を選択し、「価格を確認」ボタンをタップまたはクリックして先に進みます。
  4. すでにStarlinkを持っています。」にチェックします
    この時Starlink識別子を入力する必要があります。識別子の見つけ方は以下を参照。
    Starlink 識別子とは何ですか?
  5. 好みのプランを選択して申し込みます。
  6. アンテナを設置し、スマートフォンのアプリで先ほどのアカウントにログインし、初期設定を済ませます。

譲渡された(知人から譲り受けた)アンテナキットを利用する場合

  1. 移譲処理が終了したアンテナキットを用意します。
    Starlinkの所有権を譲渡するにはどうすればよいですか?
  2. Starlinkの公式サイト(https://www.starlink.com/)にアクセスします。
  3. 利用場所の住所を入力し、利用可能かどうかを確認して手続きに進みます。
    ※住所の入力は郵便番号をハイフンなしで入力し、表示された住所を選択し、「価格を確認」ボタンをタップまたはクリックして先に進みます。
  4. すでにStarlinkを持っています。」にチェックします
    この時Starlink識別子を入力する必要があります。識別子の見つけ方は以下を参照。
    Starlink 識別子とは何ですか?
  5. 好みのプランを選択して申し込みます。
  6. アンテナを設置し、スマートフォンのアプリで先ほどのアカウントにログインし、初期設定を済ませます。
※実際の知り合い以外から譲り受ける場合、相手が移譲処理をしない限り使い始めることができません。そのためフリマサイトなど個人間取引でキットを譲り受けることはお勧めできません。スターリンクもそのような場合は一切サポートをしないそうです。

スターリンクの設置方法や使い方

スターリンクを使う手順は以下の通りです。

  1. アンテナを設置(どこかに固定、またはスタンドに装着)
  2. アンテナとルーターをスターリンクケーブルでつなぐ
  3. ルーターの電源プラグを100Vコンセントに挿す
  4. アプリでログインし、初期設定を行う
また、初期設定が完了すると、スターリンクの利用が開始されます。利用中にトラブルが発生した場合は、アプリや公式サイトに掲載されている情報を参考に、トラブルシューティングを行ってください。

スターリンクを自宅で固定して使う場合

自宅でスターリンクを使用する場合は、アンテナが強風で動かないように、また充分北の空が開けている場所に固定するのがおすすめです。

ただしスターリンクケーブルは36V以上の電気が流れる(第一世代で56V、第二世代で48V、第三世代で57V)ため、ケーブルを建物などに固定する場合は電気工事士の資格が必要です。その他の施工も軽微な電気工事(電気工事士の資格は不要)にあたるため、電気工事業の会社以外は請け負うことができません。
※DIYの場合(業として行うものでない場合)電気工事業の登録は不要ですが、電気工事士がケーブルを扱わなくてはいけません。

壁や軒天などに穴をあけて室内に配線を取り込むことになると思いますが、難易度が高くさまざまな道具も必要なので、プロに任せるのが一番効率がいいでしょう。
※実際の固定工事の際には設置手順が異なる場合があります。

スターリンクの速度や通信品質について

広告で宣伝されているスターリンクの通信速度は最大で200Mbps+ですが、多くの事例ではそれ以上の速度が出ています。

下りの速度は比較的高速ですが、上りに関しては10Mbpsから40Mbps程度が多く、高画質のライブ配信などには向いていない可能性があります。ビデオ会議等では十分実用的な速度です。

下りの速度は十分速いため、複数人が同時に動画視聴などを行っても快適に使用できるでしょう。

第二世代のスターリンクは1台につき最大128台の端末が同時に接続でき、第三世代のスターリンクは1台につき最大235台の端末が同時に接続できます。

※Zoomの公式サポートによると推奨値は以下の通りです。

  • 1 対 1 のビデオ通話の場合:
    • 高品質ビデオでは 600 kbps(上り / 下り)
    • 720p HD ビデオの場合では 1.2 Mbps(上り / 下り)
    • 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
  • グループビデオ通話の場合:
    • 高品質ビデオでは 1.0 Mbps / 600 kbps(上り / 下り)
    • 720p HD ビデオでは 2.6 Mbps / 1.8 Mbps(上り / 下り)
    • 1080p HD ビデオでは 3.8 Mbps / 3.0 Mbps(上り / 下り)
    • ギャラリー ビューでは 2.0 Mbps(25 名)、4.0 Mbps(49 名)
参考:https://support.zoom.us/hc/ja/articles/201362023-Zoom-system-requirements-Windows-macOS-Linux

スターリンクの導入事例

当社では全国でもトップクラスのスターリンク設置実績を誇っています。現在までに50例近くのさまざまな設置を行っています。

戸建て住宅に

戸建てへのスターリンク取付
戸建てのメインインターネット回線として

アパートに

アパートへのスターリンク取付事例
オーナーとして、またはオーナーの許可を得てアパートへ設置

借家に

借家へのスターリンクアンテナ取付
入居者のためのインフラ整備として

店舗・病院に

店舗上に設置されたスターリンクアンテナ
自宅とは異なる、店舗や治療院などのインフラとして

自社ビルに

自社ビルへのスターリンク設置
コンクリート壁へのスターリンクアンテナの固定などもお任せください

事業所に

事業所にスターリンクを設置
壁面以外に折板屋根などの上に設置もできます

別荘に

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Roamプランの場合、使わない月は契約を止めることもできます

倉庫に

倉庫へのスターリンクアンテナ設置
倉庫の災害に備えたインフラとしてスターリンクを導入

山小屋に

富士山の山小屋でスターリンク工事
山小屋へWi-Fiの導入として

グランピング施設に

グランピング設備へスターリンクアンテナの設置
光配線の来ていないグランピング施設の利用者向けフリーWi-Fiとして

ゴルフ場の事務所に

ゴルフコースの事務所にスターリンクの導入
ADSLでは間に合わない業務の効率化に

リフォームと一緒に

リフォームと一緒にスターリンクの工事
足場のある時の工事もできます

スターリンクの現状と今後の展望

スターリンクの現状

  1. 2024年初頭現在、軌道上には約6,000機のスターリンク衛星があります。
  2. 15個から56個の衛星が含まれるバッチごとに軌道に打ち上げられています。
  3. 2024年5月現在、過去1年間で平均5.7台/日の衛星を打ち上げています。
  4. 日本では2022年10月から利用可能となり、月額6,600円(税込)のプランが提供されています。
  5. アンテナキットの初期費用は5万5,000円かかりますが、簡単な設定で利用できます。
  6. 建物に固定して利用する場合は専門業者に工事を依頼するのがおすすめです。
  7. Starlink Businessでは、企業や自治体向けのソリューションも提供されています。
  8. すでに地球上のどこからでも通信できる環境にありますが、利用できる地域は国ごとに制限されています。

今後の展望

  1. 最終的には数万機の衛星を打ち上げる計画です。
  2. 2024年後半にはスピンオフ(分離・独立)や新規株式公開(IPO)の可能性があります。
  3. 2024年にはSMSなどのテキストメッセージの送受信、2025年には音声通話とデータ通信のサービス提供が開始される予定です。
  4. 今後も衛星の打ち上げペースを落とすことなく、サービスの拡充が期待されています。

追加情報: 環境への影響

スターリンク衛星の増加に伴い、夜空の可視性への影響が懸念されています。天文学者らは、衛星の反射光が天体観測を妨げる可能性を指摘しています。SpaceXは、衛星の塗装や姿勢制御の改善などで、この問題への対策を講じています。環境への影響は今後も注視していく必要があります。

クラウンクラウンのスターリンク工事料金表は以下から。実際の工事料金がわかりやすいように、追加料金等も公開しています。※スターリンクの設置配線工事は電気工事士の資格と電気工事業の登録が必要ですのでご注意ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ

Starlinkのアンテナの種類(旧型・新型・高性能型)などもお知らせください。