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アンテナ工事には資格は必要?

いいえ。基本的なアンテナ工事には特別な資格は必要ありません。
もっともらしい名前で民間検定が作られる場合がありますが、ほとんどは意味のないものです。
ただし、付随工事の内容によっては必要な資格があったり、知識を証明する資格などはあります。
なお2019年2月から建設業で5m以上、それ以外の業種で6.75m以上の作業にはフルハーネスの着用が義務付けられており、フルハーネスを使った屋根上作業では特別講習が必要になります。
2022年1月1日までは移行期間で旧規格の装備でも可能ですが、原則として屋根の上で命綱をつけずに行っている作業は法令違反となっています。

アンテナ工事に関する資格

アンテナ工事を行うための資格はありません。
他のウェブサイトで電気工事士の資格が必要だという間違った情報も見られますが、電源を触らなければ電気工事士の資格は必要ありません。
また民間の検定でアンテナ工事を行うための資格のようなものもありますが、工事を行うための資格ではありません。
特にもっともらしく見えるものこそ本体の中身がないものが多いため、国家資格や公的資格と呼ばれるもの以外のものは注意が必要です。

建設業許可

例外として、500万円以上の工事になると建設業許可が必要です。
建設業許可は取得要件が非常に厳しいため、一般的にアンテナ工事の会社では建設業の許可を取得していることは稀です。
ちなみに、建設業許可の有無に関係なく一般的にアンテナ工事会社は建設業になります。

CATV技術者

アンテナ工事に関連する資格としてCATV技術者(旧【有線テレビジョン放送技術者】)という資格があります。
一般社団法人CATV技術協会が主催する、テレビジョン放送受信に関しては一番メジャーな資格だと考えられます。
国家資格ではなく、この資格を持っていることで法的に行えるようになることはありませんが、CATVの施工従事者やアンテナメーカー社員などはほぼ必携の資格です。
その歴史は古く、問われる知識も広く深いものとなります。

CATVという名前の通り、本来はケーブルテレビ工事を行う人向けの資格としての位置づけですが、実際の試験範囲にはアンテナによる電波受信の知識も多く問われます。
CATV総合管理技術者、1級CATV技術者、2級CATV技術者と大きく3段階の資格があります。
CATV総合管理技術者は【受信調査】【施工】【システム】【ブロードバンド】の4科目の合格が必要となりますが、このうちの一つでも合格するとその分野でのCATVエキスパートという資格がもらえます。
アンテナ工事を専門的に行う場合は、工事従事者は取っておくべき資格だと考えています。
資格試験では以下のような問題が出されますが、アンテナ工事のプロであれば知識として知っておくべきことばかりです。

例題
穴埋め問題

  1. 地上デジタルテレビジョン放送では、受信状況がある程度劣化しても誤り訂正機能により画質劣化がなく、誤り訂正能力の限界を超えると急激に画質劣化が生じ【回答】、画面の静止(フリーズ)、受信不能となる。
    選択肢:ゴースト、スノーノイズ、パルスノイズ、ビート、ブロックノイズ
  2. 地上デジタルテレビジョン放送のサービスエリアにおける所要電界強度は【回答】dBμV/mと電波法で定められている。
    選択肢:47、50、51、60、70
  3. 【回答】とは、QAM信号の直交変調やQPSKなどの位相変調においてマッピングされたデータ・シンボルの座標点をI軸、Q軸の直交座標上にあらわしたものである。
    【回答】を観察することで、デジタル変調の正確さ、すなわち信号の品質を把握することができる。
    選択肢:クリフエフェクト、遅延プロファイル、等価CN比、ビット誤り率、コンスタレーション
  4. 地上デジタルテレビジョン放送では、雑音や干渉などで発生するデータの誤りを訂正し、情報を正しく復元するために、誤り訂正方式としてRS符号と畳込み符号により二重の誤り訂正を行っている。これらの特性が十分得られるように、送信側でデータの送る順序を並び替えている。この並び替えを【回答】という。
    選択肢:セグメント交換、インタリーブ、遅延補正、シンボルインターバル、マルチパス補正
  5. 地上デジタルテレビジョン放送の大きな特性は、マルチパスに強くSFNの構築が可能という点である。これらに重要な役割を果たすのがOFDM信号に付加された【回答】である。【回答】は、OFDM変調器で生成されたシンボルごとのOFDM波に対して、信号長に余裕を持たせるために、その波形の末尾の一部分をコピーして先頭部分に付加するものである。
    選択肢:ガードインターバル、有効シンボル長、フィルタバンク、ワンセグ、マルチキャリア

その他過去問題は以下のページで確認することが可能です。

電気工事士

ほとんどの方が知っている国家資格の一つです。
独占資格と呼ばれるものの一つで、例えば電気工事についてはこの資格なしに行うことはできません。
アンテナ工事では、まれにブースター用の電源確保のために電気工事を行うことがあります。
その際には一番簡単な第二種電気工事士で構わないので、資格所持者が直接工事を行う必要があります。
資格者が指示、監督を行う場合でも、無資格者が工事を行うことは法律違反となります。
このFAQ編集時点で、最年少資格取得者は小学3年生です。とはいえこれは極端な事例で、一般的には高校卒業レベルの資格と言えます。
この資格が取れない人が仕事で電気に触るのは恐ろしいくらい簡単な資格ですが、まだまだ無資格で電気工事を行う業者がいることも事実です。

工事担任者

一般の人にはなじみの少ない資格ですが、情報通信に関する国家資格です。
ただしこれはアンテナの工事ではなく、情報通信線の工事に関する資格です。
電話線やLANケーブルなどの接続工事の資格ですので、アンテナ工事会社によっては関連業務として有資格者が工事を行っていることもあると思います。
AI種(アナログ)、DD種(デジタル)それぞれ第一種~第三種まであり、AI一種、DD一種の両資格所持者は申請によりAI・DD総合種という資格を取得できます。

陸上無線技士

無線設備の技術操作に関する国家資格です。
無線ということで、テレビの電波に関しても勉強します。
また電波法も試験範囲となりますので、資格としては若干の共通点はあるもののほとんど無関係の資格です。
趣味でアマチュア無線局を開局する人や、自衛隊で取得する人などもいます。

電気通信工事施工管理技士・技士補

国家資格である施工管理技士の中で最も新しく2019年に新設された資格です。
工事を行う人が持つものではなく、大規模な電気通信工事(アンテナ以外にLAN配線や光配線など)の現場監督や、施工品質管理、設計など多岐にわたり管理・監督する能力を認める資格です。
1級の資格を持っていると、建設業許可の電気通信工事業における主任技術者として認められます。
建設業許可を持っていないと500万円以上の工事を請け負うことができません。

情報配線施工技能士

国家資格である技能士の中で電気通信に関連するのはこの資格です。
1級~3級まであり、1級、2級は受験資格と実技試験があります。
ただし問われる知識と技術は光ファイバーやLANケーブルの配線施工が主だったものなので、アンテナ工事に関係しているとはいいがたいものです。

資格の位置づけ

電気工事や一部の電気通信工事については無資格での工事が法的に禁じられていますので、これについては資格を取得していくことが必須となります。
アンテナ工事に関してはほとんどの作業で絶対必要な資格や免許はありませんが、技術者として最低限必要な知識はあると思います。
しっかりとした知識の上にこそ、しっかりとした施工が可能になることは明らかです。
知識不足で行う工事はDIYの延長にすぎないのではないでしょうか。
他社様の手直しをしていても、しっかりとした知識、理論に基づいて工事を行っていない施工会社が多いことが目につきます。
またアンテナ工事に限らず安全施工の観点から、屋根上の作業は命綱の設置とフルハーネスの着用が義務付けられています(建設業は5m以上、その他の業種は6.75m以上)。
資格ではありませんが法律で決められていることという意味では同様に大切なことです。
命綱を設置せずに屋根の上でアンテナを立てている工事業者は法令違反となりますので、そういった工事業者への工事依頼はやめましょう。
参入障壁が低く見られがちなこの業界の課題です。

アンテナ工事には資格は必要?